預貯金とは違う?相続で意外と悩む「有価証券」の話
- suzuranjimusho
- 7月31日
- 読了時間: 5分
更新日:8月1日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!
先月は、「亡くなったら銀行口座はどうなる?」というテーマで、預貯金の相続についてお話ししました。
財産の中でも預貯金は、金額で調整することができるため、相続人それぞれの希望に沿った分け方がしやすい財産です。
一方で、株式や投資信託などの有価証券は、預貯金とは異なり、相続の際に悩まれることが少なくありません。
実際にご相談を受けていると、
「平等に分けたいので、全部売却して現金で分ければいいですよね。」
というお話を伺うことがあります。
確かに、現金化すると分けやすく、公平な相続を実現する方法の一つといえるでしょう。
ただ、「公平に分けられる」ということだけで、その方法がご家族にとって最もよい方法とは限りません。
現物のまま引き継ぐという方法ももちろんあり、例えば、
「この株式は長男へ、この投資信託は長女へ」
のように、ご家族で話し合い、決められることもあります。
どの方法が適しているかは、ご資産の内容、そしてご家族の状況や希望によって異なります。
そこで今回は、有価証券を相続するときに知っておいていただきたいポイントについて、お話ししたいと思います。
有価証券は、預貯金のようには分けられません
例えば、預貯金が1,000万円あれば、相続人が2人なら500万円ずつ分けることは比較的簡単です。
しかし、有価証券はそうはいきません。
株式や投資信託は、銘柄や保有数によっては、相続人それぞれが希望する形で平等に分けることが難しい場合があり、「現物のまま相続する」のか、「一度売却して現金で分ける」のかという選択が必要になることがあります。
現物のまま引き継ぐことができれば、売却することなく資産を承継でき、将来値上がりする可能性もあります。
一方で、相続人間で平等に分けることが難しい場合もありますし、将来の価値が約束されているわけでもありません。
また、売却して現金で分ける方法にも、分けやすいという利点がある一方で、考えておかなければならないことが実はたくさんあります。
ここから少し具体的にみていきましょう。
相続人に手間がかかることもあります
現物のまま引き継ぐ方法は、大切な資産をそのまま承継できるというメリットがあります。
その一方で、預貯金の相続と比べると、相続人ご自身で対応しなければならない手続きがあり、時間や手間がかかることがあるのです。
例えば、証券口座をお持ちでない場合は、新たに口座の開設を求められます。
もちろん、すでに口座をお持ちの場合は、その口座を利用できるケースもあります。
また、銀行で取り扱っている投資信託では、引き続き保有するために、ご本人が銀行で説明を受けたり、口座の手続きを行ったりする必要があることもあります。
相続手続きそのものは私が代理で進められる部分もありますが、このような手続きは、ご本人でなければ対応できません。
手続きの方法によっては思わぬ影響も
一方、売却して現金で分ける方法にも、知っておいていただきたい点があります。
売却して現金化すれば「分けやすい」というメリットはありますが、売却の方法によって税務上の取扱いに注意が必要です。
方法によっては確定申告が必要になる場合もあり、利益が出ることで翌年の所得税や住民税、場合によっては健康保険料などに影響が生じるケースもあります。
さらに、有価証券は価格が日々変動します。
例えば相続税がかかる場合は、その評価方法は法律で定められており、亡くなられた時点などの評価額を基に計算されますが、その後、実際に売却する頃には価格が大きく下がってしまうこともあります。
有価証券を売却して相続税を支払おうと思っていたのに、株価が下がり、想定していた金額で売却できなかった、ということも起こり得るのです。
正解は一つではありません
このように、有価証券には、現物のまま承継する方法もあれば、売却して現金で分ける方法もあります。
どの方法が良いのかは、ご家族の状況や相続人の希望、保有している資産の内容によって異なります。
そのため、「平等だから売却する」という考え方も一つですが、それだけが正解ではありません。
私は相続手続きの専門家として、それぞれの手続きの流れや方法ごとのメリット・デメリットをご説明し、ご判断の一助となるようお手伝いしています。
一方で、
「この有価証券は今後も保有した方がよいのか」
「売却した方がよいのか」
といった投資判断や資産運用については、私がお答えできる分野ではありません。
そのような場合には、金融資産の相続や資産承継に詳しい専門家をご紹介し、それぞれのご家庭に合ったアドバイスを受けていただくことも一つの方法です。
また、相続が発生してからの相続人の判断に頼るのではなく、生前から、有価証券をこのまま保有するのか、それとも売却して現金化しておくのかなど、ご家族に合った方法を考えておくことも大切でしょう。
その際には、相続人の負担や希望、有価証券を保有し続けたいのか、それとも売却したいのかといった考え方も踏まえながら、ご家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。
今回は、有価証券の相続は預貯金の相続よりも複雑であり、それぞれの方法にメリット・デメリットがあるということをお話ししました。
手続きの詳しい方法についてお伝えしたものではありませんが、有価証券の相続にはさまざまな選択肢があることを知っていただき、ご家庭に合った方法を考えるきっかけになれば幸いです。




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