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専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。



2025年3月のブログで解説をしました自筆証書遺言

前回は、主に「自宅にあっても開けないで」というお話と共に、法務局に預ける方法もある、ということをご説明しましたが、覚えていらっしゃいますか?


今回は、今年のGW明けに、自分自身の遺言書をこの「法務局預かり」としてきましたので、その体験記を書いていきます!


法務局に預ける経緯


もともと、私は自筆証書遺言を約2年近く前に書いてはいましたが、自宅に保管をしていました。

私の相続人は、成人した娘と未成年の息子の2人であり、内容は暫定的です。

亡くなった後の手続きのことを考えると、公正証書にしておく方が良い、と思ってはいましたが、私が生きていれば息子が成人した時点で内容が変わるのは確実

それならば、法務局預かりの方が手軽で良いのではないか、と思ったのです。


預けるための流れ


まずは、書き直すために用紙を準備しました。

法務局に遺言を預ける場合、遺言書はデータとして保管されます。

その関係で、遺言書の用紙はA4サイズの紙と決まっており、左右上下書いてはいけない余白部分があります




                         (法務局HPより)


この約束を守れば、用紙は何でも良いのですが、私は法務局が発行している用紙を手に入れていたため、それを数枚コピーしました。


そして、この用紙に、法律で決められた要件を満たすよう注意しながら、丁寧に、自筆で、全文を書きました。

内容としては、自宅に保管していたものと同じにしました。

書き間違えても訂正は可能ですが、訂正の仕方も法律で決められているため、間違えないようにしたいと集中して書きあげました。

長いと書くのも大変ですし、間違える可能性も増えるので、自筆証書遺言に適しているのは、内容が簡潔な遺言、ということになりますね。


そして、「付言」も書きました。

この「付言」は、相続人へ向けた手紙です。

色々と任せてしまう娘に対してお願いとねぎらいを、そして、2人に対して母親として伝えたい想いを、便せん1枚に書きました。


そして、次は法務局へ予約を入れます。

遺言書を預ける法務局はどこでもいい、というわけではなく、まず「遺言書保管所」である必要があります。

そしてその中で「遺言者の住所地、本籍地、または所有する不動産を管轄する遺言書保管所」のいずれかから選択をします。


滋賀県であれば、この「遺言書保管所」は大津地方法務局の供託課、甲賀支局、彦根市局、長浜支局が該当します。

私の場合、大津市に自宅があるため、自宅から一番近い「大津地方法務局の供託課」を選択しました。


法務局に預けるためには、予約が必要です。

電話で可能ですが、私は用事があり訪問したので、直接窓口で予約をしました。

日にち(平日のみ)を決め、時間帯がいくつか決められているので、その中から16時を選びました。


当日、持参が必要なものは、以下になります。

・遺言書

・保管申請書

・住民票(本籍・筆頭者の記載があるもの)

・本人確認書類(マイナンバーなど)

・手数料(遺言書1通につき3,900円)


このうち、保管申請書は、法務局のHPからダウンロードもできますし、私のように窓口に行けば直接もらうこともできます。

用紙は5枚からなっており、記載する箇所は割と多いですが、遺言者や相続人の基本的な事項が多く、難しいものではありません。

住民票は、コンビニでマイナンバーカードを使って取得し、これら必要書類を持って、当日予約の10分ほど前に、大津地方法務局へ行きました。


手数料の3900円は印紙で払うため、まず法務局2階の印紙売り場で購入し、保管申請書の5枚目である「手数料納付用紙」に貼り付けます。

それから、3階にある供託課へ向かいました。


予約をしているため、窓口はとてもスムーズです。

遺言書と付言を提出すると、内容の確認はありませんが、遺言書が法律で決められた要件を満たしているか、のチェックはしてくれます

そして必要書類を提出します。

当日中に「保管証」を受け取りたい場合は、1時間ほど待てば発行してくれますが、私は郵送を希望しました。

それも事前に確認をしており、封筒と切手を持参して郵送を依頼したので、窓口の滞在時間は10分もありませんでした。


その後、1週間ほどで自宅に「保管証」が届きました。

これで手続きは完了です。


遺言者の死亡後の手続きは


遺言者が亡くなった際には、法務局から相続人に「遺言書が保管されている」という案内が届く仕組みもあり、私は娘に届くよう設定もしました。


この設定があってもなくても、遺言者の死亡後は、相続人は

①    遺言書保管事実証明書の交付請求

②    遺言書情報証明書の交付の請求

という段階を経て手に入れた遺言書(実際には遺言書情報証明書)を使って、家庭裁判所の検認を経る必要なく、相続の手続きが行えるようになる・・という流れです。


本来、自筆証書遺言というのは、遺言者の死亡後に家庭裁判所の検認手続きが必要なので、相続人の方に動いてもらうことが多くなり、また検認手続きにも時間がかかるので、相続手続きを始めるまでに時間を要します

同じ自筆証書遺言であっても、法務局に預けると、この家庭裁判所の検認が不要、というのは大きなメリットと言えるでしょう。


とはいえ、やはり死亡後の手続きはそれなりにあるので、生前の作成は手軽であっても、公正証書遺言の方が死亡後は断然に楽だな、ということもよくわかりました。


今回私は、手続きの方法を法務局のHPから印刷して、娘にわかるように、遺言書のコピーや戸籍などを一緒に一つのファイルにまとめ残し、口頭でも娘に必要事項を伝えて、任務を終了しました。


公正証書の便利さには劣りますが、これで私が死んでも娘の負担はかなり減る、ということで、私自身がとてもホッとしました。


手続きを経験して思ったこと


遺言書を法務局預かりにするには、本人が窓口に行って手続きをする必要があります。

代理人ではいけません。

そして、財産目録などはエクセルでまとめたり、通帳コピーを添付する、なども可能なのですが、全文は自筆で書く、ということができないといけません。


そうなると、この手続きは、自分で文章をある程度間違えずに書くことができ、自分で法務局へ赴いて手続きをすることができる人が使える制度、ということになります。

お元気で遺言書を書けて動ける方の制度だな、ということを実感した体験ともなりました。


他にもお伝えしておきたい点がいくつかあります。


・法務局へ預けてしまうと、手元に何も残らないため、必要な方は遺言書のコピーを事前に取っておきましょう

・自筆証書遺言を法務局預かりにしていることを、相続人の方に伝えておきましょう。

自分の死亡時に、相続人へ法務局から通知が行くように設定はできますが、住所が変わっていれば届かないこともあります。

いざ亡くなった時に、遺言内容を実現できるように、しっかりとお伝えしておき、どのような手続きを経る必要があるのか、ご家族でコミュニケーションを取っておくことが大事です。


最後に・・


最近強く思うことは、

遺言書を書くにふさわしいタイミングを図っていても、そんなタイミングはなかなかありません、ということです。

なぜなら、生きている限り自分だけでなく、ご家族にもいろんなことが起こるからです。

人生は常に動いています。

この先のことがわかるわけでもありません。


まずは遺言書を書いてみる。

そして、状況が変われば書き直す。

それがいいのではないでしょうか。


私のように、自筆証書遺言でもいいではありませんか。

ぜひ、早速始めてみてください。

お手伝いさせていただきます!




専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

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今回は、相続人を証明する、とても便利な『法定相続情報証明制度』の『法定相続情報一覧図』について、説明をしていきます。


この制度、法務局のHPによると、『「法定相続情報証明制度」は、相続人から相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)とともに、戸除籍謄本等の束を登記所に提出していただき、一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを登記官が確認した上で、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するというものです』と書かれています。


ここから詳しく説明していきましょう。



相続が発生すると、必ずしなければならないこと、その一つは相続人の確認である、ということは、これまでのブログでも何度も出てきていますね。

法律で決められた相続人は誰か、ということを確認するためには、被相続人(亡くなった方)の戸籍を一生分集めることが必要です。


戸籍は、出生の時の届出により初めて記載され、その後結婚や転籍などによる戸籍の異動があると、その都度戸籍は増えていきます。

それだけでなく、法律による戸籍の改製が行われたりするので、一生分の戸籍を集めるとおおよそ2通~6通程度になったりします。

もちろん人によるので、これは集めてみなければ確実な通数はわかりません。


次に、その集めた戸籍を読み解き、相続人が何人いるのか・・と確認をしていきます。

相続の手続きを進めるためには、相続人とされる人が現在も存命かどうか、そして被相続人との繋がりを確認するために、相続人の戸籍謄本も集める必要があります。

そうなると、揃える戸籍関係だけで、10通以上となることも、珍しいことではないのです。


さて、それらを集め、被相続人の財産にどういったものがあるかも判明すると、その財産を誰がどのように相続するか、という話し合い(遺産分割協議)をして、それを書面に残します。

これが「遺産分割協議書」です。(これまでのブログにも、何度も出てきていますね)


ここまで来てようやく、財産(不動産や預貯金など)の名義変更ができるのですが、

手続先によって様々必要書類が決められています。


基本的に、まず間違いなく提出する必要があるのは、


①    誰が相続人であるかを確認する書類

②    遺産分割協議書

③    遺産分割協議書に押印した実印の「印鑑証明書」


となってきます。

この時の「①誰が相続人であるかを確認する書類」というのがすなわち被相続人の一生分の戸籍と、相続人の戸籍謄本」です。


これ、10通以上の戸籍書類を都度提出して手続きするのは、大変だと思いませんか?

そして、提出先で、毎回戸籍の確認作業をしてもらわなければいけないので、時間もかかります。

同時に複数先の手続きを進めようと思い、10通以上の束を2束、3束用意する、となると、取得のための費用もかかってきます。


そこで、この戸籍の束の代わりとなるのが、『法定相続情報証明制度』の『法定相続情報一覧図』です。

一度作成・申請して、相続人が一覧で表された、法務局の認証をもらった「法定相続情報一覧図」を手に入れると、この一覧図が「①誰が相続人であるかを確認する書類」となるのです。


しかも、法務局への申請に、費用はかかりません

尚且つ、その一覧図、10枚でも20枚でも、希望するだけ発行してくれるのです。


となると、戸籍の束を持ち歩く必要がなくなります。

手続きをしたい先に、戸籍の代わりに「法定相続情報一覧図」を1枚提出すればそれで相続人の確認をしてもらうことができます。

提出先にとっても戸籍を確認する必要がなくなる分、手続き時間も短縮できますね。

そして、同時に複数の先の手続きをすることも可能になります。


必要書類は?


こんな便利な「法定相続情報一覧図」。

活用していただくためには、まずどんな書類を集める必要があるか、以下を参考にしてみてください。



これは、法務局が案内している、「必ず用意する書類/必要となる場合がある書類」です。

手続先によって、住民票が要る場合は、法定相続情報一覧図に住所の記載もして、住民票も添付して申請しましょう。


ただ、よく勘違いをされる方がいるのですが、戸籍や住民票を集めて法務局に申請すると、法務局が一覧図を作ってくれる・・のではありません。

申請するためには、自分でエクセルにて一覧図を作成する必要があります。

その一覧図の書き方にも、いくつか約束事があります。

法務局のホームページを確認すると、その約束事に則ったエクセルが、相続人のパターン別に用意されています。

それを活用すると作成しやすいでしょう。



このエクセル作成は少々手間がかかりますが、この『法定相続情報一覧図』は非常に便利なため、弊所が相続の手続きさせていただくときは、たいていこの制度を利用しています。

ご自身で相続の手続きはしてみるつもりだけど、一覧図の作成が難しい、という場合も、ぜひ弊所にご相談ください。

利用できる制度は、ぜひ利用していきましょう。

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当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。



今回は、前回からの流れで「公正証書遺言」についてご説明していきます。

まずは、振り返りから始めていきましょう。



前回は、「自筆証書遺言」についてご説明をし、「勝手に開封しないで」ということをお伝えしました。

「自筆証書遺言」とはその名の通り、「自分で全文を自筆する遺言書」のこと。

手軽に書くことはできますが、法務局保管制度を利用せずに、ご自宅などで保管していた場合は、「遺言書の存在を、相続人に公に知らしめ、相続登記や金融機関の手続きに使う」ために「家庭裁判所での検認が必要」ということを解説しました。

皆様覚えていらっしゃいますか?



さてここからが、今日のテーマである「公正証書遺言」についてです。



公正証書遺言とは


「公正証書遺言」とは、公証役場で公証人が作成する形式の遺言書のことを言い、遺言書の内容を安全に管理し、実現性を高めたい方にお勧めするものとなります。

もう少し細かくみていきましょう。





上記は、私が、セミナーなどでお示ししている、自筆証書遺言と、公正証書遺言の比較表です。

公正証書遺言の大きな特徴としては、


※公証役場で、公証人によって作成される

※作成時に、2人証人が必要(証人に内容を知られる)

※公証役場へ、財産額や内容に則った手数料を支払う必要がある

※原本は公証役場で安全に保管されるため、紛失や滅失・改ざんの心配がない

※お亡くなり後に、家庭裁判所の検認が不要


が主なものになります。

検認が必要な自筆証書遺言と違い、公正証書は検認が不要、これは大きな違いですね。



作成時に資料の提出が必要


そして、作成時には公証役場へ色々な資料の提出が必要になります。

例えば、

・遺言者の出生~作成時点までの戸籍謄本等

・相続人の戸籍謄本などの資料

・財産の資料(不動産の謄本、評価証明書、通帳など)

です。


これらは、もし遺言書を作らずに亡くなった場合や自筆証書遺言を作成していて準備していなかった場合、お亡くなりになった後に、相続人の方が集めなければならない資料と同じです。

これらを、生前にご自身で集めるのは面倒だなぁ、と思う方もおられるかもしれませんが、結局は誰かが揃えなければいけない資料、ということだと、ぜひご理解ください。


生前にこうした準備をしたうえで作成する「公正証書遺言」は、遺言者は大変かもしれませんが、内容もしっかり整えられれば「自分が亡きあとに家族に揉めてほしくない」「手続きをスムーズに行ってほしい」という想いが実現できます。


想いを実現するために


想いを実現するためには、「内容もしっかり整えられれば」というところが大きなポイントとなります。

これは、法的な知識がないと難しいところも多々あります。

せっかくの公正証書遺言が、準備は万全だったのに、内容がいま一つだったということにならないように、内容をしっかりと吟味することがとても重要になります。


手軽に書ける「自筆証書遺言」。しかし、亡くなったあと相続人のやるべきことは多い。

準備は大変な「公正証書遺言」。しかし、亡くなったあと相続人の負担は非常に少ない。


どちらを選ぶのが良いか、皆様の状況によっても異なってきます。

弊所にご依頼いただければ、ご面倒な手続きは全てお引き受けいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。






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