専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
早いもので、もう12月。
今年もあと一ヶ月で終わりますね。
月日の経過の速さに驚くばかりです。
私が行政書士になってからは、およそ2年半が経ちました。
この間にたくさんのご相談やお手続きを経験させていただきました。
ひとえにお声がけくださる皆様のお陰であり、心より感謝しておりますm(__)m
今回のブログでは、
私がご依頼やご相談を頂き経験した中で、ぜひ皆様に知っておいていただけたら・・と思うことを、2点に絞ってお伝えしたいと思います。
その2点とは、こちらです。
① 昔の相続手続きが完了していないケース
② 遺言書があれば、スムーズだったのに・・
では、順番にみていきましょう。
① 昔の相続手続きが完了していないケース
2024年4月1日よりスタートした、「相続登記義務化」の法律。
この法律により、相続や遺言によって不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない、という義務が発生することになりました。
この法律は過去の相続も対象となるため、その手続きがまだできていない、という相続人の方々が、法律の施行をきっかけに登記をする方向で動いてくださっているように思います。
この場合、法律があるから‥と言う理由ももちろんなのですが、実務をやっていると、過去の相続になればなるほど、相続人が増え手続きが複雑化してくる、ということを目の当たりにしています。
相続人が増える、ということは、署名押印をいただく人数が増えるということですから、その方々全員で同意して物事を進めていく、というのは、容易ではありません。
更に、もしその中の一人が認知症であれば、手続きを進めること自体が難しくなってしまいます。
また、相続人だった人が次に亡くなった時に、相続税がかかるという状況も起こり得ります。
遺産分割ができていない財産については、複数相続人の共有状態である、ということになり、相続税の申告ひとつとっても大変ややこしいことになってきます。
更には、相続税申告には10ヶ月、という期限もあるため、色々な手続きを超特急で進めていかなければいけません。
もし手続きがうまくいかなければ、未分割状態での申告となり、後に修正が必要となってくる場合もある・・という、益々面倒なことになってしまいます。
過去の相続手続きを放置しておいて良かった、ということは、まずありません。
どうしても今は難しい、というご事情で一定期間手続きを置いておく、ということもありますが、どちらにしても、今やらなければ将来、お子さんやお孫さんなど、どなたかが費用も時間も労力もかけて手続きしなければならなくなります。
新たなご相続手続きと、過去のご相続手続きを平行してお引き受けしていくケースも、私がいただくご依頼の中で最近増えています。
皆様には、過去の未了手続きがあるのであれば、ぜひお早めに取り掛かっていただくことをお勧めします。
② 遺言書があれば、スムーズだったのに・・
相続手続きをご依頼いただく中で、遺言書がないばかりに手続きが複雑になったり、または大人数の方に手続きに参加していただかなければ進められない、というケースにも何度か遭遇しました。
例えば、子どもさんがいない高齢のご夫婦で一方の配偶者が亡くなった場合、遺された配偶者と、亡くなった方の兄弟姉妹(または甥姪)が相続人、となるケースは多くあります。
「すべての財産は遺される配偶者に・・」と思っていたとしても、遺言書がなければ、配偶者と兄弟姉妹(または甥姪)で、遺産分割協議を行わなければならず、全ての方の協力を得られないと、実質手続きがストップしてしまいます。
遺言書があれば、兄弟姉妹(または甥姪)の協力なくして、財産の移転は可能であるのに、です。
・相続人でない方に財産を渡したい
・相続人同士が協議をできる状況にない
・簡単に分けられる財産ばかりでなく、話し合いになると揉める可能性がある
など、遺言書があれば良かったのに、と思う場面はたくさんあります。
財産が多いから遺言書を遺し、少ないから遺言書が不要、というものでは全くありません。
皆様の想いを実現するためにも、遺された相続人の方々が笑顔で相続を迎えるためにも、遺言書はとても大きな役割を果たします。
遺言書がない場合は、どのような未来になるか一度想像してみてください。
想像がつかなければ、ぜひお問い合わせください。
遺言書のあるなしで、手続きの方法も、できるできない、も大きく変わってきます。
知らないままで済ませないでください。
今回は、私が経験した中で、ぜひ皆様にお伝えしておきたい2点を選んでみました。
年末年始を迎え、普段はなかなか会えないご親族の方と集まる機会も増えてくるでしょう。
その時にぜひ話題にしてみてください。
・過去の相続手続きができていない、不動産の名義がそのままになっている・・というものが残っていないでしょうか。
・遺言書はなくても、あなたの想いは実現できるでしょうか。
・遺言書を遺せたら、相続人の方にご苦労をかけなくて済むのではないでしょうか。
先人に想いを馳せながら、子孫のために何ができるか・・この年末年始は、ぜひそんなことを考える時間にしていただければ、と思います。
更新日:2 日前
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
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皆様の中で、「生命保険に一切入っていません」という方はいらっしゃいますか?
中には、健康上のご事情があって入れない、という方、または「保険はあまり好きではない」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、何らかの保険に入っている、という方はやはり大勢いらっしゃるでしょう。
では、どのような保険に、何の目的で入っているか、ご自身でおわかりになっているでしょうか。
目的に叶った保険に入れているでしょうか。
いざ、という時に役にたつはずの生命保険が、思ってたのと違う、というのでは困ります。
まずはご自身の保険の目的と、入っている保険の内容をぜひご確認ください。
そして今日は、生命保険について、相続における生前対策の場面でどのように使えるか、ということをお伝えしていきたいと思います。
まず、生命保険は何種類あるかご存知でしょうか?
ぱっと思い浮かぶところでいうと、医療保険、がん保険、介護保険、死亡保険、年金保険・・などでしょうか。
たくさんの種類があるように思いますが、実は
・定期保険
・終身保険
・養老保険
の3つに分けることができるのです。
定期保険、こちらは一定期間の保障を割安な保険料で準備できる、というものです。
一定期間の間だけの保障となるので、その期間内に保険金を受け取れない場合は損をすることもある、いわゆる掛け捨てタイプの保険が多いです。
次に終身保険ですが、こちらは一生涯にわたり保障が続く、というものです。
保険料は高額になりますが、死亡時期に関わらず保険金が下りるので、損をすることはない、と言われています。
そして養老保険とは、一定の保険期間内に死亡または高度障害と認定された場合はその保険金が支払われ、一方満期まで生存した場合は満期保険金が支払われる、というものです。
死亡保険金が支払われると満期保険金は支払われず、どちらかの受取になるということは、注意が必要です。
いわゆる貯蓄性が高い保険、と言われています。
これらの保険が細分化され、各保険会社の様々な商品となっていますが、大きくはこの3つに分類される、ということになります。
これらの保険、ご自身が「何の目的で入るのか」ということによって選んでいただく必要がありますが、実は相続における生前対策として、生命保険は有効的に使うことができるのです。
①あげたい人に確実にお金を遺してあげられる
人が亡くなった場合、遺言書が書かれていなければ、遺産分割協議で相続人同士がどのように遺産を分けるか、ということを協議する必要があります。
しかし生命保険の死亡保険金は、民法上「受取人固有の財産」と言われており、遺産分割の必要がなく、受取人が保険会社に申請することで確実に受け取れるものとなっています。
基本的に、申請して4日程度で受取人の口座に振り込まれる、と言われています。
銀行は、死亡を知ると、預貯金口座を凍結するため、お金を引き出すことができなくなります。
その口座からお葬式代や当座の費用を払いたいが、遺産分割協議がまとまるまでお金が引き出せないという時に、この保険金があるとどれだけ助かることでしょう。
話し合い次第で誰が相続するかわからない、という預貯金ではなく、妻に、長女に、二男に・・など、ご自身が遺してあげたい方に、遺してあげたい金額を生前に決めて契約できるのが生命保険です。
「お金に名前をつける」とも言われるゆえんですね。
②相続税の非課税枠
相続税の基礎控除枠は、「3,000万円+(法定相続人×600万円)」ということを以前のブログでもご説明しました。
この控除枠を超える財産に対して相続税が課税されるのですが、生命保険の死亡保険金に対しては「法定相続人×500万円」という相続税における非課税枠というものがあるのを、皆さまご存知でしょうか?
これは、例えば、夫が亡くなり、妻・子2人の計3人が法定相続人だった場合、1,500万円までの死亡保険金は相続税の課税財産に計算上入れなくてよい、ということになるのです。
ということは、同じ1,500万円を預貯金として置いておけば課税扱いですが、預貯金から1,500万円を引き出して一時払いの保険金とする契約をした場合、この1,500万円は非課税扱いになる、ということです。
これ、とてもお得ではありませんか?
これは裏技などではなく、国民の皆様が使える権利なので、ぜひ活用していただきたく、相続税がかかりそうな方には私もお薦めしています。
③相続放棄をしても受け取れる
人が亡くなった場合、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てると、マイナスの財産(借金など)を放棄できますが、プラスの財産(預貯金や不動産)も合わせて放棄することとなってしまいます。
ご自身にとって得なものだけを選んで受取り、要らないものだけを放棄する、ということはできないわけです。
しかし、①でも書いた通り、保険金は民法上相続財産ではなく、「受取人固有の財産」となるため、相続放棄をしたとしても、保険金は受け取ることができます。
相続放棄をする必要があるご事情があっても、生命保険をうまく活用すると、ある一定額を遺してあげることができる、ということです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、この3つを、生命保険金を使った相続対策の例として挙げました。
生命保険といのうは、本来の目的以外に、このような対策もできる優れものだということを、ぜひ知っておいてください。
皆様もこの機会に、ご自身の生命保険が、目的に合ったものになっているか、相続の対策としても有効に活用できているか、一度確認していただけたら、と思います。
皆様の生命保険の現況を一覧表にまとめて、ご検討の材料としていただくことも弊所では行っています。
必ず起こる相続に備えて。
ぜひお気軽にご相談ください。
更新日:10月30日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
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相続が起こった場合、亡くなった方(被相続人)の財産の中に「農地」があるケースというのは、珍しいことではありません。
被相続人が農業をしていた、という場合はもちろんですが、ご自身で農業はしていなかったけれど、代々受け継がれている農地を手放さずに所有している・・というケースなども大いにあります。
都会に住んでいる方が、生まれ育った故郷や両親の田舎に農地を所有しているが、どこにあるのか正直あまりわかっていない・・などということもあるでしょう。
まず、日本において、「農地」はどのように捉えられているでしょう?
そして、農地を相続した場合、相続の通常手続き以外にどんな手続きが必要でしょう?
今回はその辺りを中心に、お話をしてみたいと思います。
ところで「農地」というのはそもそも何を指しているのでしょうか。
日本には「農地法」という法律があり、第一条において『国内の農業生産の基盤である農地』が『現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、……中略……耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。』と書かれています。
法律の第一条というのは、目的規定または趣旨規定が置かれていることが一般的で、農地法において、日本における農地の位置づけと目的が、このようにまとめられています。
「農地」は、「国内の農業生産の基盤」であり「重要な資源」として大切に扱われていることがわかりますね。
この農地法、第2条第1項に『「農地」とは、耕作の目的に供される土地』と記載されています。
具体的には、主に「田」や「畑」のことを言います。
まずは、固定資産税通知書や登記事項証明書など書類上の「地目」と、現在の土地の状況を照らし合わせて確認することから始めてみるとよいでしょう。
(もしも現状と登記が一致しない場合は、何らかの手続きが必要になると思われます。
その際は個別にご相談ください)
農地である「田」や「畑」を所有していた方が亡くなって、それを遺産分割協議によって相続した場合、遺産分割協議書を作成して、法務局で相続登記をして、「はい!終了!」とはいきません。
「宅地」の場合は、基本的に手続きはこれで完了です。
しかし、農地の場合は、この後に農地のある各市町村の農業委員会へ「届出」が必要になります。
今「届出」と書きましたが、これは「許可」とは異なります。
「許可」とは必要事項を記載した書類を提出し、申請内容を役所に審査して認めてもらわないと、手続きは完了しません。
「届出」は必要事項を記載した書類を提出することで手続きが完了します。
この2つは、役所に書類を提出する、という行為は同じであっても、意味合いが全く違う、ということになります。
農地を所有している人によって、生前に売買や贈与が行われ、農地の「所有権の移転」が行われた時は、農業委員会の「許可」が必要となるのですが、これについては農地法第3条で定められています。
この「許可」は必ずしも下りるとは限りません。
権利を取得するにふさわしいかどうか、農業委員会の総会によって判断されます。
しかし、相続(遺産分割、包括遺贈を含む)などにより農地の権利を取得した場合というのは、この「許可」ではなく、「届出」の手続きとなるということが農地法第3条の3に規定されています。
この「届出」ですが、権利取得を知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。
提出先は、農地のある各市町村の農業委員会窓口です。
手続き上は添付書類を添えて届を出すだけで終了します。
決して難しいものではありませんので、忘れずに行ってください。
これらについて、普段から農業をされている方の場合は、地元の農業委員の方と接点もあり、よくご存知かもしれません。
しかし、所有をしているだけで農業はしていない、という方は、この機会に、日本における農地の役割を知っていただき、相続の場合には「届出」、売買や贈与の場合は「許可」という手続きが必要、ということを知っていただけたら、と思います。
今日は、遺産分割協議により農地を相続した場合について書きましたが、もしも、遺言書で農地を誰かに遺したい、または遺言書によって農地を得た、という場合は、遺言書の書き方次第で手続き方法も「許可」が必要なのか「届出」で済むのか、変わってきます。
これらについては、またの機会にブログに書けたら・・と思います。
個別にご相談になりたい方は、弊所までお気軽にご相談ください。