- suzuranjimusho
- 20 時間前
- 読了時間: 4分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!
私がお受けするご相談の中には、
「生前贈与をした方がいいですか?」
「今のうちに名義を変えた方がいいですか?」
というご質問をいただくことも多くあります。
中には、「この不動産を子どもに贈与したいのですが、どうしたらいいですか?」と、具体的な財産を前提にお尋ねになる方もいらっしゃいます。
これらを検討していただくのはとても大事なことですが、実はその前に考えていただきたいことがあります。
それは――「なぜ贈与したいのか」という目的を整理することです。
生前贈与の目的を明確にすることから始めましょう
生前贈与を考える理由は、人によってさまざまですが、主に次のような目的があります。
相続税や贈与税をできるだけ抑えたい(節税目的)
将来の相続で揉めないようにしたい(トラブル防止)
感謝や応援の気持ちを形にしたい(想いの継承)
この「目的」があいまいなまま贈与をしてしまうと、思ったほど節税にならなかったり、かえって不公平感が生まれたりすることもあります。
また、名義を変えた後に「やっぱり他の子にも渡した方が良かったかもしれない」と後悔されるケースも少なくありません。
節税目的なら、税理士への確認が欠かせません
節税目的の生前贈与という場合、注意が必要です。
贈与税や相続税は、財産全体を見たうえで判断しないと、正確な答えが出ないからです。
たとえば、一つの不動産だけを贈与しても、他の財産とのバランスで結果的に税金が増えることもあります。
また、「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」など、制度によって税金のかかり方も異なります。
私は、行政書士として一般的な方法を説明することはできますが、「どの方法がいちばん有利か」といった具体的な判断は、税理士の専門分野になります。
個別具体的な税金のご相談に行政書士が回答することは違法になりますし、何も計算をしないまま答えるのは、実際無責任なことです。
節税を目的とするなら、必ず税理士に全体の財産を確認してもらうことが大切です。
生前贈与は“全体を見て考える”ことが大切
生前贈与を考える際、「この財産をどう渡すか」という一点に注目しがちですが、本当に大切なのは、全体の財産と家族の状況を見ながら、どんな形で想いを残したいかを考えることです。
たとえば――
・特定の子にだけ不動産を渡したいなら、他の子との公平をどう保つか。
・将来の介護や生活資金も踏まえて、自分の生活を圧迫しないか。
・ご家族が安心して受け取れる仕組みになっているか。
こうしたことを一つずつ整理しながら進めることが、後のトラブルを防ぎ、納得のいく相続
につながります。
生前贈与は、あくまで生前対策の“手段のひとつ”です。
他にも、
・遺言書を作成して思いを明確にしておくこと
・生命保険や信託などを活用して資金の渡し方を工夫すること
など、状況や目的に合わせた生前対策の方法があります。
「節税のため」だけでなく、「家族が安心できるように」「自分の想いを確実に伝えたい」という視点から、今のうちに全体の財産とご自身の希望を整理していくことが大切です。
まとめ
生前贈与を考えるときは、まず「なぜ贈与したいのか」という目的を明確にすることから始めましょう。
節税を考えるなら税理士の確認を、想いを形にしたいなら遺言や信託なども含めた総合的な検討を。
一つの財産だけに焦点を当てず、全体のバランスを見ながら考えることが、安心と納得の第一歩です。
生前贈与や遺言など、生前対策をどこから始めればいいかわからない方は、まずご相談ください。現状を整理しながら、どんな方法がご家族に合っているか、一緒に考えていきましょう。
- suzuranjimusho
- 8月27日
- 読了時間: 3分
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最近、相続のご相談を受けていると、
「不動産の名義を変えるにはどうしたらいいですか?」
「預貯金の解約って、どうやって進めればいいですか?」
といった“手続き方法”に関する質問をよくいただきます。
もちろん、名義変更や解約の手続きは大切です。
しかし、その前にぜひ知っておいていただきたいことがあります。
それは――
「相続税がかかるかどうかを確認すること」です。
まずは「相続人」と「財産」をしっかり確認する
相続手続きは、「とりあえず名義を変えれば終わり」というわけではありません。
まずは基本として、
※相続人が誰かを確定すること
※財産の内容を正しく把握すること
この2つが欠かせません。
戸籍を集めたり、銀行や証券会社に照会したりして、
財産の全体像をつかむことが、最初の大切なステップです。
相続税のことを“ここ”で考えるのが大切
相続人と財産がわかったら、
この段階で相続税がかかるかどうかを意識してください。
「うちはそんなに財産がないから大丈夫」と思っていても、
実は気づいていない財産が課税対象になることもあります。
例えば――
※生命保険金や退職金
※お子さん名義の預金(名義預金)や有価証券
※評価額の高い不動産やゴルフ会員権
こういった財産も課税対象になる場合があります。
また、生命保険に関しては「死亡保険金は非課税枠があるから大丈夫」と思われがちですが、非課税枠を超える部分は課税対象ですし、医療保険や損害保険なども申告時に確認が必要です。
さらに、契約者は別名義でも、亡くなった方が保険料を負担していた場合には課税対象になるケースもあります。
つまり、「何が課税対象で、何がそうでないか」は、税理士など専門家の判断が欠かせません。
安易に「うちはかからない」と自己判断してしまうのは危険です。
相続税を確認してから、分割方法を考える
相続税がかかるかどうかを確認すると、
その後の遺産分割の話し合いがスムーズになります。
※相続税がかかる場合 → 税額を少なくできる分け方を検討できる
※相続税がかからない場合 → 相続人同士で自由に分け方を決められる
※申告が必要な場合 → 10か月以内に申告するための計画を立てられる
逆に、相続税を意識せずに分け方を決めてしまうと、
「税金が高くなる分け方をしてしまった…」
「申告期限に間に合わない!」
という思わぬトラブルに発展することもあります。
相続税の申告には、想像以上に多くの書類や確認作業が必要です。
期限ギリギリに税理士へ依頼しても間に合わない場合があるため、
「もしかしたら相続税がかかるかも…」という方は、早めの専門家相談が大切です。
まとめ
相続が発生した際に安心して相続手続きを進めるためには、
1. 相続人の確定
2. 財産の確認
3. 相続税がかかるかどうかの確認
この順番がとても重要だという理由、わかっていただけたでしょうか。
相続税がかかるかどうかを確認してから分割方法を考えることで、
結果的に一番スムーズで安心な相続につながります。
「うちは税金なんて関係ない」と思っている方ほど、
一度は専門家に確認してみることをおすすめします。
弊所では、このようなご相談もお聞きし、税理士とともに確認作業や手続きを進めていくことができます。
気になる方は、お早めにご相談ください。
- suzuranjimusho
- 7月27日
- 読了時間: 4分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
今回のテーマは、「子どものいないご夫婦の相続」についてです。
「子どものいないご夫婦は、配偶者が全て相続できる・・」
と皆様思ってはいませんか?
生前に特に準備は必要ない、と思って何もしていなかったが、いざ相続が発生すると、
「自分だけが相続人じゃない、と初めて知り、手続きの進め方がわからない・・」
ということでご相談を頂くケースがよくあります。
ご夫婦仲良く暮らしてこられて、
「うちは子どもがいないし、相続でもめるようなことはないはず」そう思われる方が多いのですが、実は、子どもがいないからこそ、生前の備えがとても重要なんです。
夫婦だけのつもりが、思いがけない人が相続人に?
たとえば、こんなケースをご紹介します。
「夫婦ふたり暮らし、結婚して50年。子どもはいない。
家も預金も、夫の名義で、妻は専業主婦。
ある日突然、夫が亡くなった・・」
この場合、妻がすべてを相続できる…と思われがちですが、
実際には、夫の「兄弟姉妹」や「甥・姪」にも相続権があるのです。
民法では、相続人の順位が決まっていて、
配偶者は常に相続人になりますが、
① 子
② 親(直系尊属)
③ 兄弟姉妹
の順番で相続人となります。
さらに、子も親もおらず、兄弟姉妹も亡くなっていれば、その子ども(甥や姪)が代わりに相続人になります。
つまり、「あまり仲が良くない兄弟姉妹」や、「まったく交流のなかった甥や姪」などと、不動産や預金の分け方について話し合わなければならないこともあるのです。
「知らなかった」では済まされない現実
実際のご相談では、こんなお悩みを耳にします。
・「夫のきょうだいと何十年も連絡を取っていない」
・「名義変更のために、甥や姪の印鑑が必要と言われて驚いた」
・「相続放棄してくれると思っていたのに、取り分を求められた」
夫にとっては兄弟姉妹あっても、妻にとっては赤の他人のような関係性ということも多くあります。
夫がいたからこそ関係性を保てていただけで、亡くなった後に、妻単独で連絡を取って協議をする・・それだけでも、残された妻にとって大きな負担となるのではないでしょうか。
まして、一度こじれてしまうと、相続手続きがなかなか進まず、残された配偶者の心労は計り知れません。
銀行口座が凍結されたまま、生活費に困ることすらあります。
遺留分のことを耳にして、心配してご相談くださる方もいらっしゃいますが、兄弟姉妹(甥姪)には遺留分はありません。
それなら一安心!と思われるかもしれませんが、遺言書がない場合、遺産分割協議において「印鑑を押さない」と言われてしまったら・・?
法的な根拠はないにもかかわらず、印鑑を押してもらうために、幾らかを支払うことが必要となる場合もあるのです。
遺言があれば、「守りたい人」をしっかり守れる
こういった事態を防ぐために、生前に「遺言書」を残すことがとても効果的です。
このケースの場合、遺言書があれば、
✅ 配偶者にすべて相続させることができる
✅ 不動産や預金の名義変更について、兄弟姉妹への協議が必要なく、スムーズに進む
つまり、「自分が亡くなった後に、配偶者が困らないように」準備ができるのです。
公正証書遺言にしておけば、手続きもより確実で安心です。
最期まで、ふたりらしく暮らすために
夫婦ふたりで築いてきた、かけがえのない暮らし。
配偶者を大切に想う気持ち、そして、自分が亡き後も安心して暮らしていけるように。
その想いを、きちんと形にしておくことは、「もうひとつのやさしさ」だと私は思っています。
・遺言を書く
・どんな財産があるか整理しておく
・信頼できる人に相談しておく
それが、残された配偶者の安心につながり、ご夫婦おふたりの人生を、最期まで
“ふたりらしく”守ることになるのです。
「まだ早いかな」と思っている今こそ、始めどき。
これからの配偶者のことを思えば、早すぎることなどありません。
どのように手続きを進めればよいかな、と気になられたかたは、いつでもご連絡ください。
行政書士として、相続コンサルタントとして、あなたの想いを形にするお手伝いをいたします。



