- suzuranjimusho
- 11月28日
- 読了時間: 4分
更新日:11月29日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!
相続や生前対策についてご相談を受けていると、
「子どもにまとまった保険金をそのまま渡すのは不安」
「障害のある家族のために、お金を計画的に管理して届けたい」
といったお悩みや希望を伺います。
そんなときに役立つのが、生命保険信託という仕組みです。
皆さん、ご存じですか?
これは、従来の生命保険よりも “渡し方を細かくデザインできる” のが最大の特徴で、普通の生命保険契約にオプションとして設定できる、というものです。
プルデンシャル生命やジブラルタ生命など、取り扱っている保険会社は限られているため、その保険会社の生命保険に加入することがまず必要です。
そして、その保険会社ごとに提携している信託会社を通じて利用できます。
ここから、生命保険信託の基本的な仕組みや、実際の活用例をわかりやすく解説していきます。
■ 生命保険信託の基本的な関係者の仕組み
生命保険信託を設定する場合、通常の生命保険と異なり、保険金の受取人として信託会社を指定します。
この信託会社が、信託契約に基づいて保険金を管理・分配する 「受託者」 になります。
そして、生命保険をかけた本人は 「委託者」。
実際に保険金を受け取る人(家族など)は 「受益者」 と呼ばれます。
さらに受益者は次のように段階的に設定できます。
第一受益者 … 最初に保険金を受ける対象
第二受益者 … 第一受益者が亡くなった場合などの次の受取人
必要に応じて、第三受益者や残余財産の帰属先も設定可能
このように、「誰に」「どの順番で」「どのように」渡すかをきちんと決めておけるのが生命保険信託の大きな特徴です。

こちらは、ジブラルタ生命保険HPより引用させてもらった図です。
各生命保険会社によって受益者の数が違うなど、運用が異なる部分があるため、利用される場合は、各社の設定を確認し、よく理解しましょう。
■ 生命保険信託が選ばれる理由
● 一度に大きな金額を渡さず、計画的な管理ができる
生命保険金は、遺された方々が安心して生活をしていくために使われる、大事なお金です。
しかし、まとまった金額を一括で渡すことに、ふと不安を覚える・・なんてことはないでしょうか。
そんな不安を解消できるのが、この生命保険信託。
未成年の子どもや、お金の管理が難しい家族に、一括で大きな額が渡ることを避けられます。
信託会社が、あらかじめ決めたスケジュールに沿って定期的に支払ってくれるため、「必要なときに必要な分だけ届く」という安心感があります。
● 使い道や支払方法を細かく決められる
毎月○万円ずつ
○歳になったら金額を増やす
学費・生活費など用途を限定する
など、家庭の事情に合わせて細かく設計できます。
■ 活用例:シングルマザーの方が子どもの将来を守るために
ここで、具体的な活用例を挙げてみましょう。
たとえば、シングルマザーのAさんが、万が一のときに子どもへ確実に、生活費やこれからの学費を残したいと考えているケース。
もし通常の生命保険で「受取人:子ども」とすると、子どもが未成年の場合はすぐに自由に使えないうえ、成人後には一度に大きな保険金を受け取ることになります。
そこで、生命保険信託を活用すると……
子に「毎月5万円ずつ支払う」
18歳以降は「毎月10万円に増額」
必要に応じて「大学入学時に一時金○万円支払う」
といったように、成長に合わせて段階的に金額を変更できます。
さらに、まだ子ども自身で判断できない時期は信託会社が計画的に支払ってくれるため、浪費の心配も不要です。
■ 遺言や他の対策と組み合わせることで、より安心に
生命保険信託は非常に便利な仕組みですが、これ一つですべての生前対策が完結するわけではありません。
資産全体の分け方や、不動産の承継、相続手続きの流れなどは、遺言書や他の対策と組み合わせて考えていく必要があります。
「保険で守れる部分」と「遺言で定めておく部分」をうまく連携させることで、より安心できる財産の引き継ぎが実現できます。
■ まとめ
生命保険信託は、
大切な家族にお金を“ちょうどいい形で”届けたい
未成年の子、障害のある家族、金銭管理に不安のある家族がいる
自分に何かあった後の生活費や学費を計画的に渡したい
大切なお金を確実に、長く守りたい
そんな方にとても相性のいい制度です。
プルデンシャル生命やジブラルタ生命など、保険会社ごとに提携信託会社・費用体系が決まっているため、利用するときは専門家に相談しながら決めていくと安心です。
弊所では、保険募集人の方とも連携しており、ご紹介が可能です。
ご興味ある方は、ぜひご連絡ください。
- suzuranjimusho
- 11月2日
- 読了時間: 4分
更新日:11月3日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!
私がお受けするご相談の中で、
「生前贈与をした方がいいですか?」
「今のうちに名義を変えた方がいいですか?」
というご質問をいただくことが多くあります。
中には、「この不動産を子どもに贈与したいのですが、どうしたらいいですか?」と、具体的な財産を前提にお尋ねになる方もいらっしゃいます。
これらを検討していただくのはとても大事なことですが、実はその前に考えていただきたいことがあります。
それは――「なぜ贈与したいのか」という目的を整理することです。
生前贈与の目的を明確にすることから始めましょう
生前贈与を考える理由は、人によってさまざまですが、主に次のような目的があります。
相続税や贈与税をできるだけ抑えたい(節税目的)
将来の相続で揉めないようにしたい(トラブル防止)
感謝や応援の気持ちを形にしたい(想いの継承)
この「目的」があいまいなまま贈与をしてしまうと、思ったほど節税にならなかったり、かえって不公平感が生まれたりすることもあります。
また、名義を変えた後に「やっぱり他の子に渡した方が良かったかもしれない」と後悔されるケースも少なくありません。
節税目的なら、税理士への確認が欠かせません
節税目的の生前贈与という場合、注意が必要です。
贈与税や相続税は、財産全体を見たうえで判断しないと、正確な答えが出ないからです。
たとえば、一つの不動産だけを贈与しても、他の財産とのバランスで結果的に税金が増えることもあります。
また、「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」など、制度によって税金のかかり方も異なります。
私は、行政書士として一般的な方法を説明することはできますが、「どの方法がいちばん有利か」といった具体的な判断は、税理士の専門分野になります。
個別具体的な税金のご相談に行政書士が回答することは違法になりますし、何も計算をしないまま答えるのは、実際無責任なことです。
節税を目的とするなら、必ず税理士に全体の財産を確認したうえで、判断してもらうことが大切です。
生前贈与は“全体を見て考える”ことが大切
生前贈与を考える際、「この財産をどう渡すか」という一点に注目しがちですが、本当に大切なのは、全体の財産と家族の状況を見ながら、どんな理由で、どのように想いを残したいかを考えることです。
たとえば――
・特定の子にだけ不動産を渡したいなら、他の子との公平をどう保つか。
・将来の介護や生活資金も踏まえて、自分の生活を圧迫しないか。
・ご家族が安心して受け取れる仕組みになっているか。
こうしたことを一つずつ整理しながら進めることが、後のトラブルを防ぎ、納得のいく相続へと繋がっていきます。
生前贈与は、あくまで生前対策の“手段のひとつ”です。
他にも、
・遺言書を作成して思いを明確にしておくこと
・生命保険や信託などを活用して資金の渡し方を工夫すること
など、状況や目的に合わせた生前対策の方法があります。
「節税のため」だけでなく、「家族が安心できるように」「自分の想いを確実に伝えたい」という視点から、今のうちに全体の財産とご自身の希望を整理していくことが大切です。
まとめ
生前贈与を考えるときは、まず「なぜ贈与したいのか」という目的を明確にすることから始めましょう。
節税を考えるなら税理士の確認を、想いを形にしたいなら遺言や信託なども含めた総合的な検討を。
一つの財産だけに焦点を当てず、全体のバランスを見ながら考えることが、安心と納得の第一歩です。
生前贈与や遺言など、生前対策をどこから始めればいいかわからない方は、まずご相談ください。現状を整理しながら、どんな方法がご家族に合っているか、一緒に考えていきましょう。
- suzuranjimusho
- 8月27日
- 読了時間: 3分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
最近、相続のご相談を受けていると、
「不動産の名義を変えるにはどうしたらいいですか?」
「預貯金の解約って、どうやって進めればいいですか?」
といった“手続き方法”に関する質問をよくいただきます。
もちろん、名義変更や解約の手続きは大切です。
しかし、その前にぜひ知っておいていただきたいことがあります。
それは――
「相続税がかかるかどうかを確認すること」です。
まずは「相続人」と「財産」をしっかり確認する
相続手続きは、「とりあえず名義を変えれば終わり」というわけではありません。
まずは基本として、
※相続人が誰かを確定すること
※財産の内容を正しく把握すること
この2つが欠かせません。
戸籍を集めたり、銀行や証券会社に照会したりして、
財産の全体像をつかむことが、最初の大切なステップです。
相続税のことを“ここ”で考えるのが大切
相続人と財産がわかったら、
この段階で相続税がかかるかどうかを意識してください。
「うちはそんなに財産がないから大丈夫」と思っていても、
実は気づいていない財産が課税対象になることもあります。
例えば――
※生命保険金や退職金
※お子さん名義の預金(名義預金)や有価証券
※評価額の高い不動産やゴルフ会員権
こういった財産も課税対象になる場合があります。
また、生命保険に関しては「死亡保険金は非課税枠があるから大丈夫」と思われがちですが、非課税枠を超える部分は課税対象ですし、医療保険や損害保険なども申告時に確認が必要です。
さらに、契約者は別名義でも、亡くなった方が保険料を負担していた場合には課税対象になるケースもあります。
つまり、「何が課税対象で、何がそうでないか」は、税理士など専門家の判断が欠かせません。
安易に「うちはかからない」と自己判断してしまうのは危険です。
相続税を確認してから、分割方法を考える
相続税がかかるかどうかを確認すると、
その後の遺産分割の話し合いがスムーズになります。
※相続税がかかる場合 → 税額を少なくできる分け方を検討できる
※相続税がかからない場合 → 相続人同士で自由に分け方を決められる
※申告が必要な場合 → 10か月以内に申告するための計画を立てられる
逆に、相続税を意識せずに分け方を決めてしまうと、
「税金が高くなる分け方をしてしまった…」
「申告期限に間に合わない!」
という思わぬトラブルに発展することもあります。
相続税の申告には、想像以上に多くの書類や確認作業が必要です。
期限ギリギリに税理士へ依頼しても間に合わない場合があるため、
「もしかしたら相続税がかかるかも…」という方は、早めの専門家相談が大切です。
まとめ
相続が発生した際に安心して相続手続きを進めるためには、
1. 相続人の確定
2. 財産の確認
3. 相続税がかかるかどうかの確認
この順番がとても重要だという理由、わかっていただけたでしょうか。
相続税がかかるかどうかを確認してから分割方法を考えることで、
結果的に一番スムーズで安心な相続につながります。
「うちは税金なんて関係ない」と思っている方ほど、
一度は専門家に確認してみることをおすすめします。
弊所では、このようなご相談もお聞きし、税理士とともに確認作業や手続きを進めていくことができます。
気になる方は、お早めにご相談ください。



