top of page

遺言書だけでは足りない?亡くなった後の手続きについて

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!


 

相続や遺言のご相談を受けていると、

「遺言書を書いておけば安心ですよね?」

と聞かれることがあります。

もちろん、遺言書はとても大切です。

誰に何を相続させるのか。

どの財産を誰に渡すのか。

その意思を残すために欠かせないものです。


しかし実は、亡くなった後に必要なのは、財産に関する手続きだけではありません


「死後事務」とは?


亡くなった後には、


・病院や施設の費用の精算

・役所への届出

・健康保険証の返却

・年金関係の手続き

・公共料金の解約

・ご自宅やお部屋の片付け


など、様々な手続きがあります。

こうした、財産の承継以外の手続きを「死後事務」と呼びます。

少し分かりにくい言葉ですが、

「相続や遺言執行など財産に関すること以外の、亡くなった後に必要な手続き」と考えていただくと分かりやすいかもしれません。


一般的には、ご家族やご親族が行うことが多い手続きです。

しかし最近では、


・お一人暮らしの方

・子どもがいないご夫婦

・子どもはいるが遠方に住んでいる方

・兄弟姉妹も高齢になっている方


など、手続きをお願いできる人がいない、あるいはお願いできたとしても負担をかけたくない、という方も増えています。


死後事務は「身寄りのない方だけ」のものではない


死後事務委任契約というと、「身寄りのない方が利用するもの」というイメージを持たれることがあります。

もちろん、そのような方にとって大切な制度です。

しかし、先にも書いたように、実際には、


・子どもはいるが遠方に住んでいる

・親族に負担をかけたくない

・高齢の配偶者に手続きを任せたくない


という理由で利用を考える方も少なくありません。

以前ご相談を受けたのは、高齢のご夫婦でした。

お子様はいらっしゃるのですが、遠方で生活されています。

ご夫婦がおっしゃったのは、

「自分たちが亡くなった後、子どもに何度も仕事を休んでこちらへ来てもらうのは申し訳ない

ということでした。


また、

「どちらか一方が先に亡くなった場合、残された配偶者も高齢です。病院や役所の手続き、様々な清算手続きを一人で抱えさせるのは忍びない」

ともおっしゃっていました。

ご夫婦からご相談をいただく中で感じるのは、亡くなった後の手続きそのものよりも、その先への不安の方が大きいということです。


「自分が先に亡くなったら、残された配偶者は大丈夫だろうか。」

「もし配偶者が先に亡くなったら、自分一人で手続きを進めていけるだろうか。」


長年連れ添ったご夫婦だからこそ、どちらの立場になっても不安を感じるものです。

実際には、亡くなった後にはご葬儀や納骨だけにとどまらず、役所への届出や各種契約の解約、病院や施設費用の精算など、様々な手続きが待っています。


「何から始めればいいのだろう。」

「困ったとき、誰に相談したらいいのだろう。」


そんな不安を抱えておられる方も少なくありません。

近年は、身寄りのない高齢者の方が増えていることから、市町村でも見守りや死後の支援に関する仕組みづくりが進められています。

ただ、その対象は限定されていることも多く、誰もが利用できる仕組みとは言い切れません


また、「子どもはいるけれど遠方に住んでいる」「頼れる親族はいるけれど負担をかけたくない」といったケースでは、公的な制度だけでは対応しきれないこともあります。


そんなとき、

「もしもの時には頼れる人がいる。」

「自分たちに代わって動いてくれる人がいる。」

そう思えるだけで、安心感は大きく変わります


死後事務委任契約は、亡くなった後のための契約であることは事実です。

しかし、その価値は亡くなった後だけにあるわけではありません

ご夫婦がお元気なうちに準備をしておくことで、将来への漠然とした不安を減らし、今を安心して暮らすことができる。

私は、それこそがこの契約の大きな価値の一つではないかと感じています。


生前に契約する方法と、亡くなった後に依頼する方法


死後事務には、生前に契約を結び、亡くなった後の手続きを依頼しておく方法があります。一方で、亡くなった後に相続人の方から依頼を受けて、手続きをお手伝いをするケースもあります。


また、私自身が今後さらに取り組んでいきたいと考えているのが、「寄り添いサポート」です。

例えば、役所での手続きは相続人の方が主体となるけれど、一緒に窓口へ行く

何を準備すればよいのか整理する。

どの順番で進めればよいのかを案内する

必要に応じて専門家へつなぎ、全体を見ながら伴走する。


手続きをすべて代行するだけが支援ではありません。

不安な気持ちに寄り添いながら、一緒に進めていくことも大切な支援だと考えています。


必要な準備は人それぞれ


相続対策というと、遺言書ばかりに目が向きがちです。

もちろん遺言書はとても大切です。

しかし、遺言書だけで十分な方もいれば、死後事務委任契約も必要な方もいます。

場合によっては任意後見契約や家族信託など、別の準備が必要になることもあります。

どこまで準備するべきかは、ご家族の状況によっても、財産の内容によっても大きく変わります。

だからこそ大切なのは、「何を準備するか」ではなく、


「自分には何が必要なのか」

「何がないと困ることになるのか」


を考えることです。


また、今後起こりうる様々な場面で相談できる専門家とつながっておくこと自体にも、大きな価値があります

何かが起きてから慌てて探すのではなく、元気なうちに信頼できる相談先を持っておくことは、将来への安心にもつながるからです。


人生の最終章を安心して迎えるために


遺言書だけでなく、死後事務委任契約という選択肢があることも、ぜひ知っていただければと思います。

最新記事

すべて表示
兄弟が相続人になる場合の注意点 ― 煩雑な手続きと配偶者を守る遺言書

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。 当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。 このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます! 相続のご相談の中で、実はとても多いのが 「兄弟姉妹が相続人になるケース」 です。 このケースは、 ・配偶者はいるけれど子どもがいない(親もいない)

 
 
 
成年後見制度が変わろうとしています― 相続で困らないために、今知っておいてほしいこと ―

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。 当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。 このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます! 相続や遺言のご相談をお受けしていると、 「もっと早く知っていれば、違う選択ができたかもしれない」 そう感じる場面に、たびたび出会います。 その中でも

 
 
 

コメント


bottom of page