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兄弟が相続人になる場合の注意点 ― 煩雑な手続きと配偶者を守る遺言書

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!



相続のご相談の中で、実はとても多いのが「兄弟姉妹が相続人になるケース」です。

このケースは、

・配偶者はいるけれど子どもがいない(親もいない)

・独身で、親も子どももいない

こういった場合に起こります。

一見、「兄弟なら話しやすいのでは?」と思われるかもしれません。

ですが、実際の手続きは、想像以上に大変になることが多いのです。



戸籍集めがとても複雑


兄弟相続が大変な理由のひとつが、戸籍の収集です。

子どもが相続人の場合は、被相続人の戸籍を出生から死亡まで集めれば足ります。

しかし、兄弟姉妹が相続人になる場合は違います。


・被相続人の出生から死亡までの戸籍

・被相続人の親の出生から死亡までの戸籍

・兄弟の中で亡くなっている方がいれば、その方の出生から死亡までの戸籍

・相続人の戸籍として、その亡くなっている兄弟の子(被相続人の甥・姪)の戸籍


ここに代襲相続や数次相続が絡むと、確認だけでもかなり複雑になります。

「そもそも相続人が誰なのか分からないという状態から始まることも、決して珍しくありません。



遺産分割に参加する人数が増える


高齢の方の場合は、兄弟が5人以上いることも珍しくなく、さらに亡くなっていれば甥姪が加わります。

気づけば10人や20人を超える相続人になることもあります。

その中に、

・高齢で認知症の方がいる

・施設に入所している

・連絡が取りにくい

といった事情があると、手続きは一気に止まってしまいます。

場合によっては、成年後見の申立てが必要になることもあります。



そもそも連絡の取り方が分からない


普段からやり取りをしている兄弟ばかりとは限りません。

・長年会っていない

・住所も分からない

・電話番号も知らない

というケースもあります。

特に、被相続人に配偶者がいる場合はさらに大変です。

配偶者にとっては義理の兄弟姉妹

その方々と話し合いをし、遺産分割をまとめなければなりません。

精神的な負担は決して小さくありません。



兄弟姉妹には「遺留分」がない


ここは、とても大切なポイントです。

兄弟姉妹には、遺留分(最低限の取り分)という権利がありません

つまり、遺言書があれば、

・配偶者にすべて相続させる

・特定の方に多めに渡す

といった内容でも、原則としてそのまま実行できます。

兄弟姉妹が相続人になるケースこそ、実は遺言書の効果がとても大きいのです。


配偶者のためにも、遺言書は「必須」に近い


配偶者がいる場合、

「自分が亡くなったあと、配偶者が兄弟と話し合いをしなければならない」

その状況を想像してみてください。

多くの戸籍を集め、普段付き合いのない親族に連絡を取り、遺産分割をまとめていく。

これは本当に大きな負担です。

けれど問題は、手続きの大変さだけではありません。


「配偶者がこれから安心して暮らしていけるように、すべて相続させたい」

そう考えている方は、とても多いでしょう。

しかし、遺言書がない場合、その思いを実現するには、大きなハードルがあります。

それは兄弟姉妹全員の同意と実印が必要、ということです。

たとえ被相続人が「全部、配偶者に」と強く思っていたとしても、遺産分割協議書にハンコをもらえなければ、その形は実現しないのです。


住み慣れた家に安心して住み続けられること。

これからの生活費を心配せずに使っていけること。

その安心を確実なものにするためには、正式な遺言書が必須といってよいでしょう。

遺言書があれば、遺産分割協議そのものが不要になり、手続きがスムーズになるだけでなく、配偶者の生活を守ることにもつながります



配偶者がいない場合でも


独身で子どもがいない方の場合も同様です。

兄弟間で話し合いをしていかなければなりませんが、その兄弟が高齢であることも多く、「誰が取りまとめるのか」というところから大変になることもあります。

「自分が亡くなったあとに、またこんなに大変な思いをさせるのは忍びない」

ご自身がその手続きを経験して、そう言われるご家族も少なくありません。

やはり、遺言書があるに越したことはありません。



兄弟相続は「煩雑」なだけではありません


兄弟姉妹が相続人になる場合、

「子ども同士よりは揉めにくいのでは?」

と思われることがあります。

確かに、実務の現場では、まず“手続きが煩雑”という大変さが目立ちます。

ですが、それだけではありません。


実際には、

・その相続財産をあてにしている方がいる

・「自分にもいくらかはもらえるはず」と思っている

・配偶者が「全部ほしい」と言うことに納得できない

こうした思いがぶつかることもあります。


兄弟姉妹には遺留分はありません。

法律上は「必ずもらえる権利」はないのです。

それでも、

「印鑑を押してくれない」「強く主張してくる」「直接話をしに来る」

という状況になることは、現実にはあります。

そうなると、円満に終わらせたい配偶者が、

「少し渡してでも早く終わらせたい」

と考え、本意ではない形で合意せざるを得ないこともあります。

あるいは、争いに発展してしまうケースもあります。

決して多数派とは言いませんが、私自身が見聞きしてきた現実です。


だからこそ――


兄弟姉妹が相続人になる可能性がある場合、遺言書の有無は本当に大きな違いを生みます。

遺言書があれば、原則として遺産分割協議は不要です。

「話し合い」そのものを避けることができます。

これが、何よりも大きな安心につながります。

相続は、起きてから整えることはできません。

けれど、起きる前であれば整えることができます。


「自分の死後に、配偶者が困らないように」

「余計な話し合いをさせたくない」

その想いを、確実に形にできるのが遺言書です。

兄弟姉妹が相続人になる可能性がある方こそ、今のうちに一度、立ち止まって考えてみてください。

大切な方のこれからの安心を守るために。

遺言書という選択肢があります。

いつでもご相談ください。


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