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自筆証書遺言、自宅にあっても開けないで!

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。


 

今地上波で「相続探偵」というドラマが放送されています。

これまでの回では、自筆証書遺言が見つかるところからストーリーが展開しており、お話としても面白く、勉強にもなるので、毎回楽しみに観ています。


このドラマに限らず、「自筆証書遺言」すなわち、亡くなった方が生前に「自筆で全文を書いた遺言書」が自宅から見つかった場合、相続人を集め、そこで封筒を開け、内容を読む・・というストーリー展開が常となっていますが、実際は、遺言書の封を勝手に開けることはNG!ということ、皆様ご存知でしょうか?

今日はこのことについてお話していきたいと思います。



まず、遺言書の種類はいくつかありますが、主に、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、基本的にはこの二つを皆様には知っておいていただければ、と思っています。


 

「自筆証書遺言」とは


遺言を書く方が、「全文を自筆」で書いたうえ、「日付の記載」「署名押印」をして、封筒に入れて保管する遺言書、これが「自筆証書遺言」です。

遺言書として有効なものにするには、法律に定められたこれら要件を満たす必要があります。


そして、作成後の保管方法には大きく二つあります。


ひとつは「法務局で保管してもらう」という方法です。

これが制度として始まったのは、令和2年7月。

遺言書を書く際の用紙サイズや書くスペースなどに決まりがあります。

ただ、作成後は法務局で保管してもらえるため、遺言書の紛失・亡失のおそれがなく、相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができる、というメリットがあります。


そして、もうひとつは「ご自宅などで保管する」という方法。

この方法だと、法務局のような様式の決まりなどはないので、思い立ったその日に、ご自宅にある便せんと封筒を使って、すぐに書いてしまっておくことができる、というメリットがあります。

ただ、遺言書を書いたことを相続人が知らない場合、見つけてもらえない恐れがあり、場合によっては改ざん、遺棄などをされてしまう危険も伴うため、必ずしも安全な良い方法とは言えません。


そして、この「自宅などで保管する」場合、忘れてならないのは、「勝手に開封してはいけない」ということ。

法務局以外の場所で遺言書を保管していた場合、それを見つけた相続人は、家庭裁判所に「遺言書検認」の申し立てをする必要があるのです。


「遺言書検認の申し立て」とは


この「遺言書検認」について、法務局のサイト上では、「相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。」と、書かれています。

簡単に言うと、「遺言書の存在を公的に認め、相続人に知らせる」ものであり、内容について「有効か無効か」を判断してもらうものではないのです。

手続そのものが終わるまでに2~3ヶ月かかることもあるので、遺言書作成は簡単だけど、亡くなった後に諸々の手続きが必要、ということになります。


もし、遺言書を作成しないまま亡くなった場合、金融機関や不動産登記などの手続きを行うためには、相続人全員で「遺産分割協議」に伴った「遺産分割協議書」を作成・署名押印し、それを添付書類として提出する、ということが必要になります。


しかし手続きに使うための内容がしっかりと書かれている遺言書があれば、「遺産分割協議書」は不要となります。

ただ、自宅など、法務局以外で保管された自筆証書遺言の場合は、手続きに使うためには、家庭裁判所での「検認」を経る必要がある、というのが大きなポイントになります。


言い方を変えると、「検認」が必要なのに行わなかった自筆証書遺言は、いくら内容が有効であっても、手続きに使うことはできず、結局は相続人全員で署名押印する遺産分割協議書を作成しなければならない、ということになってしまうのです。


ドラマでは、相続人が自宅に集まり、そこで重々しく遺言書を開封して、そこからストーリーは展開していきますが、実際にご自宅などに保管している「自筆証書遺言」が出てきた場合は、必ず家庭裁判所へ「検認申立て」を行ってください。

勝手に封を開けると、罰金5万円という法律もあるので、要注意です。


では、公正証書遺言書がある場合はどうなるでしょう。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いも合わせて、次回のブログで解説していくので、楽しみにお待ちくださいね。

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