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あなたの大事な「不動産」、分け方は考えていますか?

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。


私がお客様に生前の対策をお勧めした時、多くの方が仰る言葉は

「うちの財産なんて、不動産だけやから大丈夫!」

という言葉。

皆さまもよく口にしたりしていませんか?


しかし、不動産が財産のメインとなっている場合、どのように相続させるおつもりでしょうか?

その不動産を相続される方は良いとして、他の方が何か代わりに相続できる財産があるでしょうか?

相続人が複数人いる場合、不満が出ずにうまく分けることができそうでしょうか?

そこまでお考えになっていますか??



例を挙げて考えてみましょう


ここに、夫Aさんと妻Bさんのご夫婦がいて、このご夫婦には、長男のCさん、長女のDさんがいるとしましょう。



夫Aさんの財産は、

・預貯金が500万円

・自宅の土地と家屋(計2000万円程度の固定資産税評価額)

としましょう。

そして、長男Cさんがご夫婦と同居していて、長女Dさんは結婚して遠方にいる・・

こういうご家庭はよくあるのではないでしょうか。


この状況で夫Aさんが亡くなった場合法律で決められた相続人は、妻のBさん、長男のCさん、長女のDさんです。

遺言書がなく、遺産分割協議をするとなり、財産は一旦妻Bさんがすべて相続する、というパターン・・これもよくあることでしょう。


そして、更に数年が経ち、今度は妻Bさんが亡くなった時、相続人は長男Cさんと長女Dさんとなります。


家は同居していた長男Cさんがそのまま住み続けるため、Cさんが相続したいと言い、では預貯金は長女に・・という案が、すんなり決まれば安心です。

遺産分割協議書にまとめて、手続きを進めていけば大丈夫です。


もし話がまとまらなければ?


しかしそこで、長女Dさんが、「もらう金額に差があるよね」と言い出したら・・?


「私は500万円しか相続しないのに、お兄ちゃんが2000万円の評価額の自宅を相続するのって、不公平じゃない?」と思うことは絶対ないでしょうか?


長女Dさんの子どもたちが受験期でこれからお金が要る・・という状況だったりすると、もらえるものをもらいたい、と思うのは自然な感情ですよね。

また、配偶者や第三者から「いやいや、もらえる権利はあるのに、それでいいの?」ということを言われて「それならば・・」と思うこともあるかもしれません。

法定相続分で言えば、長男長女ともに1/2の権利があるので「その分はもらいたい」と思っても何らおかしくはないのです。


代償金という解決策


その主張を長女Dさんがしてきたときの解決策として、長男Cさんから長女Dさんへ「代償金」を払う、という方法があります。


今回この金額で考えると

(預貯金500万+不動産の固定資産税評価額2,000万)÷2=1,250万

が一人ずつの法定相続分となるので、

長女Dさんの相続分500万円との差額750万円を、長男Cさんが現金で支払うという方法です。


不動産を売却せず、お金に換えられない場合は、ご自分の資産の中からその現金を用意できれば、それで丸く収まるかもしれません。


しかし、長男にその資産がなければ?

それでも長女がその主張を曲げなければ?


解決するために家を売ってお金に換えて、公平に半分ずつにする、ということが必要になることも、十分起こり得るのです。


そして、ここで一つ注意していただきたいのは、この例では不動産の価値を「固定資産税評価額」として計算しましたが、当事者間の話し合い次第で「実際の売却価格」として計算したい、いやいや「相続税額」としての計算方法もあるだろう‥とお互いの主張が一致せず、この段階で揉めることも少なからずある、ということです。


共有名義は解決策?


上記の分け方ではなく別の解決策として「家を共有名義にする」ということを考える方もいらっしゃるかもしれません。

この方法でこの時は一旦話し合いは収まるかもしれません。

しかし「不動産の共有名義」、専門家からからすると、決してお勧めすることはできません。


例えば、近々売却することが決まっているようなときには、共有名義にするのは有りでしょう。

もちろん、検討材料は他にもありますが、お金の分配という意味合いでは一つの方法だと思います。

なぜなら、相続人の一人が不動産を相続して、その後売却をした場合、その売却金を他の相続人に渡そうとすると、それは「贈与」となってしまい、簡単なことではないからです。


しかし、この例のケースのように、売却予定がなく住み続ける、またはとりあえずしばらくの間保有しておく、などの場合に共有名義にしてしまうと、この先面倒なことになることが安易に予想されます。


長男が住んでいるのにもかかわらず、長女が売りたいと思ったら?

共有者同士の、売りたい・貸したいのタイミングが一致するとは限りません。


そして、長年共有状態が続いた状態で、また新たな相続が発生すると、その持分に応じてどんどんと名義が細分化されていくことになります。


そうなるとますます、その意思を全員で合致させていくことは難しく、その不動産をどうにも動かせない、という状況が起こり得ます。


共有名義は解決の先延ばし


一時の解決のために、不動産を共有名義にした場合、それは「本当の解決を先延ばししただけだ」ということをぜひ知ってください。

特に揉めているご家庭というわけでなく、円満に不動産を共有にする、というご家庭もよくお見かけします。

とりあえず目の前に不便も問題も感じずに住み続けていけるため、共有名義がはらむ危険性を気にすることなく年月が過ぎていきますが、そのうちに共有者が1人亡くなり、また1人亡くなり、いざ不動産をどうにかしたい、と思った時には、どうにもできない、という事態に陥る可能性が十分にあります。


そうなる前に・・


皆さまには今回のブログを通じて

「不動産がメインの財産で、他にうまく分ける財産がない場合」

「不動産を共有にすることが解決策だと思っている方」

には、生前にしっかり検討していくことが必要だ、ということをぜひ知って頂きたいと思います。


「うちの財産なんて、不動産だけやから大丈夫!」

と思っていた方がいらっしゃれば、ではどうすればよいのかという対策をご一緒に検討させていただきますので、どうぞお気軽にお問合せを、または『すずらんcafe』の無料相談をぜひお申し込みください。

















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