専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています
皆様の中で、「生命保険に一切入っていません」という方はいらっしゃいますか?
中には、健康上のご事情があって入れない、という方、または「保険はあまり好きではない」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、何らかの保険に入っている、という方はやはり大勢いらっしゃるでしょう。
では、どのような保険に、何の目的で入っているか、ご自身でおわかりになっているでしょうか。
目的に叶った保険に入れているでしょうか。
いざ、という時に役にたつはずの生命保険が、思ってたのと違う、というのでは困ります。
まずはご自身の保険の目的と、入っている保険の内容をぜひご確認ください。
そして今日は、生命保険について、相続における生前対策の場面でどのように使えるか、ということをお伝えしていきたいと思います。
まず、生命保険は何種類あるかご存知でしょうか?
ぱっと思い浮かぶところでいうと、医療保険、がん保険、介護保険、死亡保険、年金保険・・などでしょうか。
たくさんの種類があるように思いますが、実は
・定期保険
・終身保険
・養老保険
の3つに分けることができるのです。
定期保険、こちらは一定期間の保障を割安な保険料で準備できる、というものです。
一定期間の間だけの保障となるので、その期間内に保険金を受け取れない場合は損をすることもある、いわゆる掛け捨てタイプの保険が多いです。
次に終身保険ですが、こちらは一生涯にわたり保障が続く、というものです。
保険料は高額になりますが、死亡時期に関わらず保険金が下りるので、損をすることはない、と言われています。
そして養老保険とは、一定の保険期間内に死亡または高度障害と認定された場合はその保険金が支払われ、一方満期まで生存した場合は満期保険金が支払われる、というものです。
死亡保険金が支払われると満期保険金は支払われず、どちらかの受取になるということは、注意が必要です。
いわゆる貯蓄性が高い保険、と言われています。
これらの保険が細分化され、各保険会社の様々な商品となっていますが、大きくはこの3つに分類される、ということになります。
これらの保険、ご自身が「何の目的で入るのか」ということによって選んでいただく必要がありますが、実は相続における生前対策として、生命保険は有効的に使うことができるのです。
①あげたい人に確実にお金を遺してあげられる
人が亡くなった場合、遺言書が書かれていなければ、遺産分割協議で相続人同士がどのように遺産を分けるか、ということを協議する必要があります。
しかし生命保険の死亡保険金は、民法上「受取人固有の財産」と言われており、遺産分割の必要がなく、受取人が保険会社に申請することで確実に受け取れるものとなっています。
基本的に、申請して4日程度で受取人の口座に振り込まれる、と言われています。
銀行は、死亡を知ると、預貯金口座を凍結するため、お金を引き出すことができなくなります。
その口座からお葬式代や当座の費用を払いたいが、遺産分割協議がまとまるまでお金が引き出せないという時に、この保険金があるとどれだけ助かることでしょう。
話し合い次第で誰が相続するかわからない、という預貯金ではなく、妻に、長女に、二男に・・など、ご自身が遺してあげたい方に、遺してあげたい金額を生前に決めて契約できるのが生命保険です。
「お金に名前をつける」とも言われるゆえんですね。
②相続税の非課税枠
相続税の基礎控除枠は、「3,000万円+(法定相続人×600万円)」ということを以前のブログでもご説明しました。
この控除枠を超える財産に対して相続税が課税されるのですが、生命保険の死亡保険金に対しては「法定相続人×500万円」という相続税における非課税枠というものがあるのを、皆さまご存知でしょうか?
これは、例えば、夫が亡くなり、妻・子2人の計3人が法定相続人だった場合、1,500万円までの死亡保険金は相続税の課税財産に計算上入れなくてよい、ということになるのです。
ということは、同じ1,500万円を預貯金として置いておけば課税扱いですが、預貯金から1,500万円を引き出して一時払いの保険金とする契約をした場合、この1,500万円は非課税扱いになる、ということです。
これ、とてもお得ではありませんか?
これは裏技などではなく、国民の皆様が使える権利なので、ぜひ活用していただきたく、相続税がかかりそうな方には私もお薦めしています。
③相続放棄をしても受け取れる
人が亡くなった場合、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てると、マイナスの財産(借金など)を放棄できますが、プラスの財産(預貯金や不動産)も合わせて放棄することとなってしまいます。
ご自身にとって得なものだけを選んで受取り、要らないものだけを放棄する、ということはできないわけです。
しかし、①でも書いた通り、保険金は民法上相続財産ではなく、「受取人固有の財産」となるため、相続放棄をしたとしても、保険金は受け取ることができます。
相続放棄をする必要があるご事情があっても、生命保険をうまく活用すると、ある一定額を遺してあげることができる、ということです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、この3つを、生命保険金を使った相続対策の例として挙げました。
生命保険といのうは、本来の目的以外に、このような対策もできる優れものだということを、ぜひ知っておいてください。
皆様もこの機会に、ご自身の生命保険が、目的に合ったものになっているか、相続の対策としても有効に活用できているか、一度確認していただけたら、と思います。
皆様の生命保険の現況を一覧表にまとめて、ご検討の材料としていただくことも弊所では行っています。
必ず起こる相続に備えて。
ぜひお気軽にご相談ください。
Comments