生前贈与のメリット・デメリット ― その前に考えてほしいこと
- suzuranjimusho
- 20 時間前
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専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信していきます!
私がお受けするご相談の中には、
「生前贈与をした方がいいですか?」
「今のうちに名義を変えた方がいいですか?」
というご質問をいただくことも多くあります。
中には、「この不動産を子どもに贈与したいのですが、どうしたらいいですか?」と、具体的な財産を前提にお尋ねになる方もいらっしゃいます。
これらを検討していただくのはとても大事なことですが、実はその前に考えていただきたいことがあります。
それは――「なぜ贈与したいのか」という目的を整理することです。
生前贈与の目的を明確にすることから始めましょう
生前贈与を考える理由は、人によってさまざまですが、主に次のような目的があります。
相続税や贈与税をできるだけ抑えたい(節税目的)
将来の相続で揉めないようにしたい(トラブル防止)
感謝や応援の気持ちを形にしたい(想いの継承)
この「目的」があいまいなまま贈与をしてしまうと、思ったほど節税にならなかったり、かえって不公平感が生まれたりすることもあります。
また、名義を変えた後に「やっぱり他の子にも渡した方が良かったかもしれない」と後悔されるケースも少なくありません。
節税目的なら、税理士への確認が欠かせません
節税目的の生前贈与という場合、注意が必要です。
贈与税や相続税は、財産全体を見たうえで判断しないと、正確な答えが出ないからです。
たとえば、一つの不動産だけを贈与しても、他の財産とのバランスで結果的に税金が増えることもあります。
また、「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」など、制度によって税金のかかり方も異なります。
私は、行政書士として一般的な方法を説明することはできますが、「どの方法がいちばん有利か」といった具体的な判断は、税理士の専門分野になります。
個別具体的な税金のご相談に行政書士が回答することは違法になりますし、何も計算をしないまま答えるのは、実際無責任なことです。
節税を目的とするなら、必ず税理士に全体の財産を確認してもらうことが大切です。
生前贈与は“全体を見て考える”ことが大切
生前贈与を考える際、「この財産をどう渡すか」という一点に注目しがちですが、本当に大切なのは、全体の財産と家族の状況を見ながら、どんな形で想いを残したいかを考えることです。
たとえば――
・特定の子にだけ不動産を渡したいなら、他の子との公平をどう保つか。
・将来の介護や生活資金も踏まえて、自分の生活を圧迫しないか。
・ご家族が安心して受け取れる仕組みになっているか。
こうしたことを一つずつ整理しながら進めることが、後のトラブルを防ぎ、納得のいく相続
につながります。
生前贈与は、あくまで生前対策の“手段のひとつ”です。
他にも、
・遺言書を作成して思いを明確にしておくこと
・生命保険や信託などを活用して資金の渡し方を工夫すること
など、状況や目的に合わせた生前対策の方法があります。
「節税のため」だけでなく、「家族が安心できるように」「自分の想いを確実に伝えたい」という視点から、今のうちに全体の財産とご自身の希望を整理していくことが大切です。
まとめ
生前贈与を考えるときは、まず「なぜ贈与したいのか」という目的を明確にすることから始めましょう。
節税を考えるなら税理士の確認を、想いを形にしたいなら遺言や信託なども含めた総合的な検討を。
一つの財産だけに焦点を当てず、全体のバランスを見ながら考えることが、安心と納得の第一歩です。
生前贈与や遺言など、生前対策をどこから始めればいいかわからない方は、まずご相談ください。現状を整理しながら、どんな方法がご家族に合っているか、一緒に考えていきましょう。





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