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新しい戸籍制度…本当に利用しやすくなる?

更新日:5月31日

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言(生前対策)・相続・離婚のご相談を主にお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。


 

今回は、令和6年3月1日施行の「利用しやすくなる」と言われている「戸籍制度」について解説していきたいと思います。



この制度によって変わることは、二つあります。

一つは、「戸籍謄本等の広域交付」といい、最寄りの市町村の窓口で戸籍の取得ができるようになる!というもの。

そしてもう一つが、「戸籍の届出時にこれまで添付していた戸籍証明書等の負担が軽減する」というものです。


どちらも使い勝手のよくなるはずの制度ですが、相続の場面で期待されるのは、「戸籍謄本等の広域交付」の方でしょう。

こちらの制度について、詳しくみていきましょう。



相続が発生すると、まずは相続人が誰か、ということを確認し証明するために、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまで」の連続した戸籍を取得する必要があります。

この「戸籍を取得する」という際、これまでは本籍地の役所に請求する必要がありました。


「生まれてからの戸籍はすべてお住まいの市町村にある」という方も中にはいらっしゃるでしょうが、本籍地を何回か変えている、という方も一般的に多くいらっしゃいます。


そうすると「生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得しよう」と思った時、一つの窓口では足りず、戸籍を順番に遡り、以前の本籍地である遠方の市町村に郵送で請求して集めていく・・という手順が必要な場合もありました。


それが、今回の「広域交付」という制度により、お住まい(最寄り)の市町村の窓口で戸籍を請求すると、その一連の戸籍を揃えてもらえるようになるのです!

これは、とても便利ですよね。


ただこの制度、注意点もいくつかあります。

ひとつは、「すべての戸籍を取得することができるのか」というと、必ずしもそうではないということ。

『コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍を除く』という但し書きがついているのです。

ということは、窓口で受け取れた戸籍が、「生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍」であるとは言い切れませんね。

戸籍というのは、何十年も生きてきていらっしゃるうちに、本籍地の変更や戸籍の中身の変更だけでなく、戸籍法の改正により、ご自身の知らない間に新しい形式の戸籍に変わっていることがあり、そうなると一つの市町村の中でも集める戸籍は複数に及ぶということがよくあります。(もちろん、戸籍の形式が変わるだけで、事実が記載されていることには変わりません)


それらの戸籍が全て揃っているのか、しっかり中身を確認し、足りない戸籍があればこれまで通り、市町村に個別に請求していかなければいけません。


そして、もう一点。

誰もがどの戸籍でも取得できる、というわけではないのです。

誰が請求できるのか、ということは決められており、

「本人・配偶者・父母、祖父母などの直系尊属、子、孫などの直系卑属」の戸籍を請求できる、ということになっています。


では、どんな相続の連続した戸籍取得に利用できるのか、というと、

・配偶者の死亡

・自分の親や祖父母の死亡

・自分の子や孫の死亡(あまり考えたくありませんが・・) ということになります。

これも、委任状を使っての請求などはできないため、「夫の父母の相続が起こり、妻が代わりにその戸籍を取りに行く」という際にはこの制度は使えません。

もちろん、私達行政書士のような士業も利用できず、これまで通り、個別に市町村に請求する、ということになります。


そして、窓口へ行く必要もあり、本人確認資料も必要です。

郵送などではこの制度は利用できません

そして、市町村によっては、「90~120分程度の待ち時間の余裕を持ってお越しください」などと注意書きをしているところもあります。


使い勝手がよくなる制度・・ということで期待もされていますが、果たしてどれだけの場面でその恩恵を受けられるでしょうか。


代理人も取得できる、どんな相続の場面でも利用できる、兄弟姉妹の戸籍も取得できる、待ち時間も短くできる・・などとなってくれれば、相続手続きにおいて大きな前進となるのではないでしょうか。


今後運用される中で制度の改善も行われ、本当に便利な制度となっていくことを期待したいと思います。


この制度を今後利用される方は、使い勝手のご感想などをぜひお聞かせください。





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