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「おひとりさま」のサポート【後編】

更新日:8月29日

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。


 

今回は、前回に続いて「おひとりさまのサポート」の「生前のサポート部分」についてお話していきたいと思います。


前回の簡単なおさらいですが、

おひとりの方が亡くなった場合生前に作成した遺言書や死後事務委任契約をもとに、遺言執行者が遺言内容を実現し、死後事務受任者がその方の最期のお手続きやお片付け、納骨などを行っていきます。

それらを実際に行っていくためには生前からの関りが大切です、というところまでが、前回の内容でした。



さて、ここから今回のテーマとなりますが、皆様は、なぜ生前から関わることが必要だと思いますか?

一度考えてみてください。

遺言書を作成し、死後事務委任契約を交わしても、作成した後お互いが連絡を取り合わなければどうなるでしょう?

いざ亡くなった時の連絡はスムーズに取ることができるでしょうか。


そして、遺言書や死後事務委任契約は、作成してすぐに亡くなるわけではありません。

数年後、中には数十年後という場合もあるでしょう。

一度作った内容のまま、時間が経過する中で財産状況やご希望に変化があることは十分考えられます。

そんな時、しっかりとしたフォロー体制が取れていないと、過去に作ったままの、現在にそぐわない内容のままでお亡くなりになってしまう、ということになります。

折に触れて内容を確認し、状況の変化に応じて必要があれば作成し直す、ということは、とても大切なことではないでしょうか。


また、遺言執行や死後事務を専門家が行う場合、報酬が発生してきます。

その報酬の管理、というものも重要になってきます。

預り金として契約時に一定金額を渡しておく必要がある場合や、顧客の通帳の中でその資金を確保しておく場合、など受任する側の仕組みにもよりますが、話し合いで取り決めをするケースもあります。

金銭が絡んでくることですので、信頼関係がなくなればこれらを遂行していくのは難しいことです。


しかし、何より私が一番大事だと思うのは、ご自身の最期を任せる相手ですから、「この人に看取ってほしい」そして受ける側は「この人のことをしっかり看取ろう」という気持ちでお互いが向き合っていく。

そんな関係性を築くことが大事なのではないか、と考えています。



実際に、どんな形で生前からサポートし関係を築いていくか、というと

「見守り」「財産管理」「任意後見」という契約が主なものになってきます。


「見守り」とは、依頼者がお元気でご自分のことはご自分でできるけれども、いつ変化が起こるかわからない、そんな兆候を見逃さないように、そして安心してお過ごしいただけるように、普段の生活からLINEを交わしたり、電話をしたり、訪問をしたり・・どんな頻度でどんなサポートを望まれるか、を相談して取り決めを交わします。

おひとりの方の場合、誰かと常に繋がっている、というのは、とても大きな安心になるのではないでしょうか。


「財産管理委任契約」は、ご自身で通帳や金銭などの管理をするのがしんどくなってきた時に、受任者が、その方の財産を、その方の代わりに管理していく、という委任を受けるものです。

ただ、主導権はあくまでご本人。ご本人の指示のもとにサポートを行っていく、というイメージです。


そして「任意後見契約」

これは、ご自身が判断能力があるお元気なうちに「もしも認知症などで判断力がなくなった場合に、財産の管理や、契約事などを、ご自身に代わって意思決定し管理していってもらう」という契約を、ご自身が決めた相手と交わしておくのです。

任意後見契約を事前に準備していない方が認知症になった場合、通帳からお金をおろしたり財産を動かしたりするには、正式には「法定後見」というものが必要になり、家庭裁判所への申立てにより誰を後見人とするかを家裁が決定し、その後見人により後見が行われます。

任意後見契約であれば、ご自身が信頼できる人を先に選んでおくことができる、という大きな違いがあります。


主にこの3つの契約を交わしておくことで、おひとりの方へのサポート体制を整えていきます。

しかし、人が生活をしていくうえで、これらのサポートだけですべてが賄えるわけではありません。他にも考えていかなければいけない部分は多々ありますが、少なくともこれらをしっかり整えたうえでないと、遺言書の実現や死後事務の円滑な手続きは難しいと考えます。


ただ、これらの契約は、遺言執行者や死後事務受任者が必ずしも結ばなくてもかまいません。どなたか代わりにお願いできる方、例えば福祉事務所の方などが生前はしっかりサポートするような形を整え、その方々とも連携して関りをもち信頼関係を築いていく、という形も十分に考えられます。


人が生きていくうえでは、一つの契約をしたからそれで大丈夫!とはなかなかいきません。

様々な状況に対応しよう、と思うと、あれもこれも‥となってしまいがちですが、本当にないと困るのは何かをしっかりと考えて、必要な契約をしていくことが大切でしょう。

その中で、これら3つは、お亡くなり後にも繋がる大事なサポートであり、信頼関係を更に築いていくうえでも欠かせない契約なのではないかと考えています。


その人にとって、これからの人生にどんなお手伝いが必要か。

どのようなサポートをしていければ、幸せに暮らしていただけるか。


私もまだまだ勉強中です。

しかし少しでもその方に寄り添ったサポートをしつつ、安心して暮らしていただけるよう、お手伝いをしていきたいと思います。


おひとりの方のサポートは、生前から始まり、お亡くなり後まで続きます。

当事務所では、このようなサポートも行っておりますので、詳しいことをお聞きになりたい方はぜひお気軽にお問合せください。


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