専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
皆様は、「遺贈寄付」というものを、ご存知でしょうか。
「寄付」というのは、今や災害の時などにもよく行われており、皆様よくご存じかと思います。
一方、「遺贈寄付」は生きている時に行う寄付ではなく、「お亡くなりになった後に、財産を相続人以外の特定の法人や団体などに渡す、寄付を行う」というもので、あまり一般的ではないかもしれません。
これまでのブログでも何度かご説明をしている通り、ご自身の財産は、生前に何も準備をしていなければ、お亡くなり後は相続人へと引き継がれます。
法定相続、または遺産分割協議、という方法によって、その引継の手続きが行われます。
相続人がいない場合は、その財産は国庫へ帰属することとなります。
もし、相続人以外に財産を渡したい場合は?
その場合は、生前に「遺言書」を準備することが必要になってきます。
例えば、「お世話になった長男の妻へ、財産をいくらか遺したい」という場合などは、遺言書が必要なケースです。
この「長男の妻へ」のような、相続人以外の個人へ財産を遺すことは「遺贈」と言われ、「相続」とは少し異なる扱い方がされています。
「相続」で相続人へ財産が引き継がれる場合と、「遺贈」で相続人以外へ財産が引き継がれる場合とでは、例えば税金面などで条件が変わってくることもあるので、理解をしてから進める方が良いでしょう。
さて「遺贈寄付」に話は戻ります。
前述の通り、「遺贈寄付」は「相続人以外の特定の法人や団体などに、死亡後に寄付を実現する」というもので、「個人への遺贈」とはまた違ったものになります。
この「遺贈寄付」の場合、「遺言書」で行う場合と、「遺産分割」で相続人に行ってもらう場合があります。
「遺産分割」での寄付は、死後に相続人へと託すことになるので、ここでは、「遺言書」で寄付をする場合のやり方について、説明していきたいと思います。
まず、遺贈寄付を考える場合、どの法人や団体に寄付をしていきたいか、ということを考えます。
どの団体でも、遺贈寄付を受けてくれるわけではありません。
寄付を受け付けているから、遺贈寄付もできるだろう・・ではないのです。
例えばホームページなどでしっかりと「遺贈寄付を受け付けている」ということを表明しており、その使い道などを示している先などが安心です。
そして、できればその先へコンタクトを取り、どのような財産をどのように寄付したいと思っているか、ということを伝えた上で、「遺贈寄付を受けてくれるか」という確認をしてください。
例えば、現金を〇〇万円、などの場合は、受けてくれる先も多いのではないかと思いますが、「自分が今住んでいる自宅を寄付したい」などとなってくると、これはなかなか大変です。
「寄付だから何でも受けてもらえる」ということはないので、その不動産を不動産のまま受けてくれるのか(現物型遺贈)、もしくは、売却後に金銭に換えてから受けてくれるのか(清算型遺贈)、そこの確認も必要です。
不動産の寄付の場合、本当に売れる不動産かどうか、という確認も生前にしておくに越したことはないでしょう。
一般的に売却が難しい不動産の場合、売却ができないとなれば、清算型の遺贈寄付も難しい、現物型の遺贈寄付なら尚更、と思っておく方が良いと思います。
生前に「遺贈寄付OK」という確認が取れた場合も、税金面など確認しなければならない項目は多々あります。
それらを何も知らずに遺言書を作ってしまうと、遺贈寄付が実現できたとしても、相続人が思わぬ税金を負担しなければならない、ということも起こってきます。
そして、遺贈寄付が実現するのはご本人が亡くなったあと。
その時になってもしも「この財産は受け付けられません」と言われてしまっては、取り返しがつきません。
せっかくの遺贈寄付の意思は実現できないものとなるので、遺言書作成には入念な準備が必要といえるでしょう。
こうして読んでいただくと、「なんだか難しそうだな」と思われるかもしれません。
金銭以外の寄付となると、たしかにやるべきことは色々増えるのですが、遺贈寄付は最後の社会貢献でもあります。
相続人がいないお一人の方なら尚更、お世話になった施設などにご自身の財産を寄付をしたい、という想いをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、ご自身の財産の全部でなくて構いません。
たとえ数万円であっても、人生の最期に寄付をする、ということを考えてみてはいかがでしょうか。
別の見方をすれば、遺贈寄付を考える、ということををきっかけに、ご自身の財産について考えて頂く良い機会にもなるでしょう。
ご自身の財産のこと、亡くなった後に相続人に全てを任せてしまいますか?
それより、ご自身でその財産をどうしたいか考えて遺言書に遺しませんか?
その時に、たとえわずかでも「遺贈寄付」をしてみませんか?
弊所では、遺贈寄付の専門家と連携を取っており、不動産の遺贈寄付などにも対応しながら遺言書作成のサポートをいたします。
遺贈寄付にご興味を持っていただけた方は、ぜひご相談ください。
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