2024年4月1日施行の「相続登記の義務化」。
皆様の中でも、耳にする機会が増えて、気になっている方が多いのではないでしょうか。
今までは相続した不動産の名義を変えていなくても、表面上は特に困ったことがなく過ごせていることが多かったと思います。
しかし、この法律は「亡くなった方の名義のままにせず、必ず不動産登記の所有者を変更してくださいね」という法律です。
相続した不動産の名義は、法務局へ届け出ることによって、所有者が変わります。
(これを「相続登記」といいます)
届出をしておくと、第三者への対抗要件にもなります。
しかしこれまでは、届出自体が義務というわけではありませんでした。
ただ、亡くなった方の名義のままにしていると、
いざ不動産を売買しようとした時など、現在の所有者に名義を変更しないと売ることができません。
では、その「名義を変更する=相続登記」をするために、どんな手順を踏むのかというと・・
まずは、登記簿上の所有者の相続人による遺産分割協議が必要になります。
相続人全員が存命で今全員で協議をして署名押印できれば、それでいいのですが、
もしも登記簿上の所有者が、数十年も前に亡くなった方のままだったら?
その相続人の方も亡くなっていて、そのまた相続人を探しだし、連絡を取り、相続人全員の了解を得て、遺産分割協議をしなければならない・・という、恐ろしく労力のいることになってしまいます。
私が実際見せていただいたお客様の資料で、30人を超える相続人が手続きに参加する必要がある、というケースもあります。
このケースのように、その時にきちんと手続きしていれば数人だった相続人が、放置している間に数十人に膨れあがってしまうということは、年数が経てば経つほど、起こってしまうのです。
日本には
不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、または、判明してもその所在が不明で連絡がつかない土地、
いわゆる「所有者不明土地」というものが、多数存在しています。
そこで、この所有者不明土地をを少しでも減らす目的で、この「相続登記の義務化」という法律はできました。
この法律のポイントは、
①相続で不動産を取得した相続人は、不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならない
②正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の対象となる
ということです
①は、「亡くなった日から3年」ではなく「不動産を取得したことを知った日から3年」です。
基本的には、イコール「亡くなったことを知った日から3年」以内に、登記をする義務があると認識していただいたらいいですが、その3年で遺産分割協議が整わなければ、「相続人申告登記の申出」という方法もあります。
これは、「自分が相続人である」ということを申告する申出ですが、
ひとまず申請義務は履行した、とみなされる制度です。
あくまで仮の登記であるので、ひとまず3年以内にこれをしておいて、遺産分割協議が整うとそこから3年以内に必ず「相続登記」をしなければいけない、という義務は残ります。
②はこれらのことを期限内に行わなかった時に、過料という「行政罰」の対象となり、
10万円以下の支払い通知がやってくる可能性があるというものです。
これは、以前の相続に遡って適用されるため、過去に起きた相続においても、
基本的には令和6年4月1日から3年以内に相続登記をする必要があるという認識で動いていただくのがいいと思います。
いかがでしょうか。
「相続登記の義務化」の法律の概要は、ご理解いただけましたでしょうか。
不動産の所有者が亡くなってから初めて相続人同士が話し合って、誰がどの不動産を承継するかを決めて、遺産分割協議をして、相続登記をして・・というのは、どのご家庭もがスムーズにできるとは限りません。
だからこそ、生前にしっかりご家族で話し合い、誰に継承させるか決めておき、
それを遺言に遺しておく。
そうすると、遺産分割協議の必要もなく、お亡くなり後にスムーズに相続登記の手続きをしていくことができます。
この法律一つとっても、生前の手続きの重要性を実感するところです。
過去の相続の手続きを放置している・・
今後起こりうる相続のことを考えておきたい・・
気になるぞ、という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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