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「相続時精算課税制度」と「暦年贈与の持ち戻し期間」が変わりました

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。


今回は、2024年1月1日施行となった、相続に関係のあるお金のお話をお伝えしていきます。

 

明けましておめでとうございます。

2024年がスタートしました。

昨年は、良きお客様に恵まれ、また大切な仲間に支えられ進んできた一年でした。

今年は、すずらん行政書士事務所が皆様に頼っていただける事務所として、しっかりと成長をしていけるよう、ますます頑張る所存です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆様にとっても、この一年が素晴らしい一年となりますよう、お祈り申し上げます。


 

今年最初のブログは、

大きく変わる「相続時精算課税制度」と「暦年贈与の持ち戻し期間」のお話です。


「相続時精算課税制度」

『この制度を選択した受贈者(お金をもらう側)が、特定贈与者(あげる側)から令和6年1月1日以降に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されることになりました。

また、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年 1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額とされます。』


この文言は、国税庁のパンフレットから抜粋していますが、少し難しいですよね。

できるだけわかりやすくお伝えしていきます。



本来、暦年贈与額110万円を超えて贈与を受ける場合、贈与税がかかることは皆様ご存じだと思います。

110万円以上の贈与を受けた方は、その翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告をして、国に納税していく必要があります。


暦年課税というのは、簡単にいうとこのような仕組みになっていますが

「相続時精算課税制度」は、受贈者(お金をもらう側)がこの制度を利用すると、特定贈与者につき2,500万円まで贈与税が非課税になる、というものです。 (初年度の贈与税申告時に、この制度を選択する、という届出等が必要です)

ただ、この特定贈与者との関係において、暦年課税に戻ることはできない、という仕組みにもなっているので注意が必要です。


そして今回の改正により、2,500万円までは暦年課税とは意味合い違いますが、その年贈与を受けた金額から110万円を引くことができるようになりました。

たとえば2024年に200万円の贈与を受けた、とした場合、本来暦年課税であれば、110万円を引いた残額90万円に対して贈与税がかかるところ、この制度を利用すると90万円についても贈与税は非課税、という扱いになるのです。


もちろん2,500万円を超えた部分に対しては贈与税がかかるので、贈与時に一律20%の贈与税の支払いが必要になります。 そして最終的に特定贈与者が亡くなった時に、相続税の計算の中で支払いも還付も清算されるという仕組みになっています。


この制度は、基本的に贈与税より相続税の方が税率は低いので、相続時に遺産を承継することにして生前の贈与をためらうのではなく、早くから若い世代に資産を移していくことを推奨している制度です。


しかし、この制度、以前からあったものの利用があまり進んでいませんでした。

使い勝手として、あまり良くなかったと言われています。


そこで今回の改正で、この2,500万円まで基礎控除110万円」という仕組みが追加されたのです。


そして、暦年贈与においては、贈与者が亡くなった場合、これまで死亡日以前の3年間に贈与した財産について、相続財産に持ち戻して故人の財産額として計算することになっていましたが、今回の改正にともない、その3年が7年に延長されました。


こちらも同様、令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。


ということは、相続税がかかるかもしれない、という方、または確実にかかる方が少しでも相続税の支払い額を減らそうと思い暦年贈与で子などに贈与していた場合、これまでは3年間分だけ持ち戻して計算されていたものが、7年も持ち戻されてしまうのです。

暦年贈与を使って贈与をしていく場合、相続税の対策としてはかなり早くからしないと、あまり意味がないということですね。


であるならば、新しい相続時精算課税制度の方が使い勝手がいいと利用が進むことが期待され、今回この2点の改正が同時に行われたのです。


いかがでしょうか。

この制度、相続税を払う人にしか関係ないじゃないか、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

相続時精算課税制度は、特定贈与者の相続時に清算する、という仕組みです。

この制度を使って贈与を受けた金額と故人の財産額を足しても、相続税の基礎控除以下という場合は、贈与税も相続税も払わなくて済む、とうこともあるのです。


このブログでは、この制度の仕組みを簡単にお伝えしているので、全ての説明ができているわけではありません。

これを読んで、一足飛びにこの制度に飛びつくことはお控えください。

どういった方が、どのような場合に利用すればお得となり、その方の資産の移転にメリットを産むのかについて、行政書士は判断をすることができません。

利用をご検討される場合は、税理士にしっかり確認していただくことをお薦めします。


皆様には、こういった仕組みがあることや、利用すればお得となる場合があるかもしれないこれらの情報をしっかりと知って頂いたうえで、少しでも大切な財産を、次の世代に遺していけるようにお考え頂ければ、と思います。


今年も、皆様にとって有益な情報をお届けできるよう頑張ります。

すずらん行政書士事務所をどうぞよろしくお願いいたします。




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