- suzuranjimusho
- 2024年2月25日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年5月31日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言(生前対策)・相続・離婚のご相談を主にお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
今回は、令和6年3月1日施行の「利用しやすくなる」と言われている「戸籍制度」について解説していきたいと思います。
この制度によって変わることは、二つあります。
一つは、「戸籍謄本等の広域交付」といい、最寄りの市町村の窓口で戸籍の取得ができるようになる!というもの。
そしてもう一つが、「戸籍の届出時にこれまで添付していた戸籍証明書等の負担が軽減する」というものです。
どちらも使い勝手のよくなるはずの制度ですが、相続の場面で期待されるのは、「戸籍謄本等の広域交付」の方でしょう。
こちらの制度について、詳しくみていきましょう。
相続が発生すると、まずは相続人が誰か、ということを確認し証明するために、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまで」の連続した戸籍を取得する必要があります。
この「戸籍を取得する」という際、これまでは本籍地の役所に請求する必要がありました。
「生まれてからの戸籍はすべてお住まいの市町村にある」という方も中にはいらっしゃるでしょうが、本籍地を何回か変えている、という方も一般的に多くいらっしゃいます。
そうすると「生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得しよう」と思った時、一つの窓口では足りず、戸籍を順番に遡り、以前の本籍地である遠方の市町村に郵送で請求して集めていく・・という手順が必要な場合もありました。
それが、今回の「広域交付」という制度により、お住まい(最寄り)の市町村の窓口で戸籍を請求すると、その一連の戸籍を揃えてもらえるようになるのです!
これは、とても便利ですよね。
ただこの制度、注意点もいくつかあります。
ひとつは、「すべての戸籍を取得することができるのか」というと、必ずしもそうではないということ。
『コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍を除く』という但し書きがついているのです。
ということは、窓口で受け取れた戸籍が、「生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍」であるとは言い切れませんね。
戸籍というのは、何十年も生きてきていらっしゃるうちに、本籍地の変更や戸籍の中身の変更だけでなく、戸籍法の改正により、ご自身の知らない間に新しい形式の戸籍に変わっていることがあり、そうなると一つの市町村の中でも集める戸籍は複数に及ぶということがよくあります。(もちろん、戸籍の形式が変わるだけで、事実が記載されていることには変わりません)
それらの戸籍が全て揃っているのか、しっかり中身を確認し、足りない戸籍があればこれまで通り、市町村に個別に請求していかなければいけません。
そして、もう一点。
誰もがどの戸籍でも取得できる、というわけではないのです。
誰が請求できるのか、ということは決められており、
「本人・配偶者・父母、祖父母などの直系尊属、子、孫などの直系卑属」の戸籍を請求できる、ということになっています。
では、どんな相続の連続した戸籍取得に利用できるのか、というと、
・配偶者の死亡
・自分の親や祖父母の死亡
・自分の子や孫の死亡(あまり考えたくありませんが・・) ということになります。
これも、委任状を使っての請求などはできないため、「夫の父母の相続が起こり、妻が代わりにその戸籍を取りに行く」という際にはこの制度は使えません。
もちろん、私達行政書士のような士業も利用できず、これまで通り、個別に市町村に請求する、ということになります。
そして、窓口へ行く必要もあり、本人確認資料も必要です。
郵送などではこの制度は利用できません。
そして、市町村によっては、「90~120分程度の待ち時間の余裕を持ってお越しください」などと注意書きをしているところもあります。
使い勝手がよくなる制度・・ということで期待もされていますが、果たしてどれだけの場面でその恩恵を受けられるでしょうか。
代理人も取得できる、どんな相続の場面でも利用できる、兄弟姉妹の戸籍も取得できる、待ち時間も短くできる・・などとなってくれれば、相続手続きにおいて大きな前進となるのではないでしょうか。
今後運用される中で制度の改善も行われ、本当に便利な制度となっていくことを期待したいと思います。
この制度を今後利用される方は、使い勝手のご感想などをぜひお聞かせください。
- suzuranjimusho
- 2024年1月31日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年4月30日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
今日のブログは、弊所のシステムをいくつか変更することについてのお知らせとなります。
これまで、弊所にご相談を頂く場合、「初回1時間無料相談」を実施してきました。
皆様の「ご相談したいけれどどこに相談したらいい?」という時の気軽なお問い合わせ先でありたい、という想いからです。
ご相談することすらためらう方もいらっしゃる中で、料金が発生すると尚更・・
「無料」ということが皆様の背中を押すのであれば、と思い、開業当初から続けてきました。
できればこの仕組みを維持したかったのはやまやまですが、私1人ですべてをこなすことができなくなってきた、というのが現状です。
今後は初回か否かということに関わらず、30分3,300円、または1時間5,500円(税込)のご相談料を頂戴します。
ただ、ご相談の後お仕事としてご依頼いただける場合は、このご相談料も報酬の一部とさせていただきますので、どうぞご安心ください。
とはいえ、一律で無料相談を廃止するわけではありません。
例えば、
・ご紹介のお客様
・過去にご依頼頂いているお客様
・「無料相談」のチラシをご持参くださるお客様
・公式LINEをご登録いただき、相続診断をお申込みくださったお客様
については、初回1時間の無料相談を維持していきたいと考えています。
また、イベント開催に伴う無料相談という形で、少しでもその機会を作りたいと思っています。
例えば月に一度参加している「湖城が丘サロン」。
このサロン内では「ミニ無料相談」のコーナーを持たせていただいているので、今後もこのコーナーは継続します。
ただサロン側の事情により、昨年の11月から土曜日開催となったため、私が定期的に参加することができなくなっており、このコーナーも実質行えておりません。
私がサロンに参加できないためにご相談ができない、という方については、別途ご訪問などさせていただき、サロンと同様に30分(初回のみ)無料でご相談を承ります。
他にも、今後セミナーと合わせて無料相談を行うなど、皆様が気軽にご相談いただけるような形は考えていきたいと思っています。
今後少しずつ変化していくことはあると思いますが、今のところはこの方向性であることを、どうぞご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
その他、弊所がこれからもしっかりお客様に寄り添った仕事をしていくために、
2024年1月より従業員を増やし、事務作業などの効率化を図っています。
それに伴い、3月より報酬額の改定も行います。
ご依頼をお考えのお客様は、お早めにお問い合わせくださいませ。
色々と変化していくには、勇気がいります。
しかし、変化を恐れていては、先へ進めません。
お客様に喜んでいただく仕事を長く続けていくためにも、持続可能な仕組みづくりが必要だと思い、今回色々と変えていくこととしました。
皆様にはご理解ご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
ご不明点などありましたら、いつでもご連絡ください。
- suzuranjimusho
- 2024年1月3日
- 読了時間: 5分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
今回は、2024年1月1日施行となった、相続に関係のあるお金のお話をお伝えしていきます。
明けましておめでとうございます。
2024年がスタートしました。
昨年は、良きお客様に恵まれ、また大切な仲間に支えられ進んできた一年でした。
今年は、すずらん行政書士事務所が皆様に頼っていただける事務所として、しっかりと成長をしていけるよう、ますます頑張る所存です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様にとっても、この一年が素晴らしい一年となりますよう、お祈り申し上げます。
今年最初のブログは、
大きく変わる「相続時精算課税制度」と「暦年贈与の持ち戻し期間」のお話です。
「相続時精算課税制度」
『この制度を選択した受贈者(お金をもらう側)が、特定贈与者(あげる側)から令和6年1月1日以降に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されることになりました。
また、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年 1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額とされます。』
この文言は、国税庁のパンフレットから抜粋していますが、少し難しいですよね。
できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
本来、暦年贈与額110万円を超えて贈与を受ける場合、贈与税がかかることは皆様ご存じだと思います。
110万円以上の贈与を受けた方は、その翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告をして、国に納税していく必要があります。
暦年課税というのは、簡単にいうとこのような仕組みになっていますが、
「相続時精算課税制度」は、受贈者(お金をもらう側)がこの制度を利用すると、特定贈与者につき2,500万円まで贈与税が非課税になる、というものです。 (初年度の贈与税申告時に、この制度を選択する、という届出等が必要です)
ただ、この特定贈与者との関係において、暦年課税に戻ることはできない、という仕組みにもなっているので注意が必要です。
そして今回の改正により、2,500万円までは暦年課税とは意味合い違いますが、その年贈与を受けた金額から110万円を引くことができるようになりました。
たとえば2024年に200万円の贈与を受けた、とした場合、本来暦年課税であれば、110万円を引いた残額90万円に対して贈与税がかかるところ、この制度を利用すると90万円についても贈与税は非課税、という扱いになるのです。
もちろん2,500万円を超えた部分に対しては贈与税がかかるので、贈与時に一律20%の贈与税の支払いが必要になります。 そして最終的に特定贈与者が亡くなった時に、相続税の計算の中で支払いも還付も清算されるという仕組みになっています。
この制度は、基本的に贈与税より相続税の方が税率は低いので、相続時に遺産を承継することにして生前の贈与をためらうのではなく、早くから若い世代に資産を移していくことを推奨している制度です。
しかし、この制度、以前からあったものの利用があまり進んでいませんでした。
使い勝手として、あまり良くなかったと言われています。
そこで今回の改正で、この「2,500万円まで基礎控除110万円」という仕組みが追加されたのです。
そして、暦年贈与においては、贈与者が亡くなった場合、これまで死亡日以前の3年間に贈与した財産について、相続財産に持ち戻して故人の財産額として計算することになっていましたが、今回の改正にともない、その3年が7年に延長されました。
こちらも同様、令和6年1月1日以後の贈与から適用されます。
ということは、相続税がかかるかもしれない、という方、または確実にかかる方が少しでも相続税の支払い額を減らそうと思い暦年贈与で子などに贈与していた場合、これまでは3年間分だけ持ち戻して計算されていたものが、7年も持ち戻されてしまうのです。
暦年贈与を使って贈与をしていく場合、相続税の対策としてはかなり早くからしないと、あまり意味がないということですね。
であるならば、新しい相続時精算課税制度の方が使い勝手がいいと利用が進むことが期待され、今回この2点の改正が同時に行われたのです。
いかがでしょうか。
この制度、相続税を払う人にしか関係ないじゃないか、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
相続時精算課税制度は、特定贈与者の相続時に清算する、という仕組みです。
この制度を使って贈与を受けた金額と故人の財産額を足しても、相続税の基礎控除以下という場合は、贈与税も相続税も払わなくて済む、とうこともあるのです。
このブログでは、この制度の仕組みを簡単にお伝えしているので、全ての説明ができているわけではありません。
これを読んで、一足飛びにこの制度に飛びつくことはお控えください。
どういった方が、どのような場合に利用すればお得となり、その方の資産の移転にメリットを産むのかについて、行政書士は判断をすることができません。
利用をご検討される場合は、税理士にしっかり確認していただくことをお薦めします。
皆様には、こういった仕組みがあることや、利用すればお得となる場合があるかもしれないこれらの情報をしっかりと知って頂いたうえで、少しでも大切な財産を、次の世代に遺していけるようにお考え頂ければ、と思います。
今年も、皆様にとって有益な情報をお届けできるよう頑張ります。
すずらん行政書士事務所をどうぞよろしくお願いいたします。