- suzuranjimusho
- 2024年6月30日
- 読了時間: 5分
更新日:2024年8月29日
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
最近、私の元にもおひとりさまのご相談が増えてきています。
一概に「おひとりさま」と言っても、何も天涯孤独の方のみのことを指すわけではありません。
・お子様がいても遠方で頼れる状況でない
・お子様はおらず、兄弟姉妹や甥姪などはいるが遠方
・ご親族と疎遠
など、状況は様々。
終活の場面においては、「困った時に頼れる人のいない高齢者」という意味合いで理解しておけば良いのではないかと思います。
ご相談くださる方の中には、近くにご親族もいて普段は交流もあるけれど、ご自身のこれからのこと、死後のことを、「お身内に頼るのではなく早めに専門家なりどこかの団体などに依頼しておいた方がいいのでは」と考えて情報を得ようとして動いておられる方もいらっしゃいます。
皆様は、おひとりの方が亡くなった場合、葬儀や納骨などはどうなるのかご存知でしょうか。
たとえば、身寄りがない方、または身寄りはあるが長年誰とも連絡を取っておらず、いざという時に葬式をあげてもらえない・・という方の場合、「墓地埋葬法」という法律に基づき自治体がこれを行うことになります。
生活保護を受給している方の場合は、まず自治体の福祉課などが動くことになるでしょう。
しかし、それを望むのではなく、ご自身のこれからのことを考えていきたい、という場合、我々のような専門家にご相談をいただくと、ご提案をするのは「遺言書作成・死後事務委任の契約」と「生前からのサポート」です。
そのうち、今日は「遺言書作成」と「死後事務委任の契約」について、ご説明していきたいと思います。
おひとりの方がいざ亡くなった時「自分の財産はどうなるのか、死後の後始末は誰がしてくれるのか・・」といったことに対応するためには、まずこの「遺言書作成」と「死後事務委任の契約」が必要になります。
相続人がいない方の場合、遺言書がなければ、基本的に財産は国庫へ帰属します。
この国庫帰属の金額は、1年で440億円にのぼる、ともいわれています。
「そうはしたくない、お世話になった施設などに寄付をしたい」または「これまでよくしてくれた甥姪に財産を遺したい」などの希望を叶えたければ、遺言書を作成し、遺言執行者を立てておくことが必要になります。
遺言書によってこれらの希望は叶えられたとしても、その他「お葬式をどのようにあげるか、納骨はどうするか、家の片づけは、役所での手続きは誰が行うのか・・」など、人が亡くなった後にやらなければならない諸々の手続きは、実は、遺言書だけでは解決しません。
この場合、遺言書作成に加えて「死後事務委任」という契約を、専門家などと交わし取り決めをしておく必要があります。
死後事務委任契約の内容は、たとえば、
・行政機関への諸届、未払い税金の支払い
・葬儀や火葬の施行
・入院費や施設の生産
・SNSアカウント等の削除
・関係者への死亡通知
など、これも様々あります。
その人にとって、何が必要かということをしっかり聞き取りして、必要な契約をできるだけ漏れがないように結んでいく必要があります。
人は1人で生まれ、1人で生きているわけではありません。
それと同様に、「誰の手も借りずに死ぬ」というわけにもいきません。
いくら終活をしっかりやって、物を減らして遺言書を作成しても、最後の最後は誰かが動く必要があります。
ご家族がいれば、きっと当たり前のようにやってくれるでしょう。
しかし、おひとりさまの場合は、「きっと誰かがやってくれるだろう」ではなく、そこはご自身が「ご自身の最後をお願いしたい方」を決めて、しっかりと準備をしておくことがとても大切になってきます。
そして、これら作成した遺言書の執行や死後事務を行うために、依頼する側と依頼される側は、生前から連絡を取り合う必要があります。
なぜなら、その方が亡くなったことを知る術がなく、実行する時を知らずに過ごしてしまうと大変だからです。
そんなことにならないように、信頼関係を築いた中で生前から交流をもち、お元気でいることを確認し、様子がおかしいとなれば次の手を打っていく・・このような継続的な関係性を作っていくことが必要です。
生前の関りやサポートについては、長くなるので、次回のブログで書きたいと思います。
今回は、おひとりさまがご自身の最期に向けてどのようなことを考えていく必要があるか、ということについて書きました。
「自分にいざということが起こった時、どうなるのだろう」と漠然とした不安を抱えたまま暮らすのではなく、ぜひその方法を知り利用してください。
きっとこれからの生活を、安心した中でお過ごしいただけると思います。
すずらん行政書士事務所では、このようなご相談も承っていますので、お一人で悩まれずにまずはお気軽にご相談ください。
- suzuranjimusho
- 2024年5月31日
- 読了時間: 5分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
皆様は、「遺贈寄付」というものを、ご存知でしょうか。
「寄付」というのは、今や災害の時などにもよく行われており、皆様よくご存じかと思います。
一方、「遺贈寄付」は生きている時に行う寄付ではなく、「お亡くなりになった後に、財産を相続人以外の特定の法人や団体などに渡す、寄付を行う」というもので、あまり一般的ではないかもしれません。
これまでのブログでも何度かご説明をしている通り、ご自身の財産は、生前に何も準備をしていなければ、お亡くなり後は相続人へと引き継がれます。
法定相続、または遺産分割協議、という方法によって、その引継の手続きが行われます。
相続人がいない場合は、その財産は国庫へ帰属することとなります。
もし、相続人以外に財産を渡したい場合は?
その場合は、生前に「遺言書」を準備することが必要になってきます。
例えば、「お世話になった長男の妻へ、財産をいくらか遺したい」という場合などは、遺言書が必要なケースです。
この「長男の妻へ」のような、相続人以外の個人へ財産を遺すことは「遺贈」と言われ、「相続」とは少し異なる扱い方がされています。
「相続」で相続人へ財産が引き継がれる場合と、「遺贈」で相続人以外へ財産が引き継がれる場合とでは、例えば税金面などで条件が変わってくることもあるので、理解をしてから進める方が良いでしょう。
さて「遺贈寄付」に話は戻ります。
前述の通り、「遺贈寄付」は「相続人以外の特定の法人や団体などに、死亡後に寄付を実現する」というもので、「個人への遺贈」とはまた違ったものになります。
この「遺贈寄付」の場合、「遺言書」で行う場合と、「遺産分割」で相続人に行ってもらう場合があります。
「遺産分割」での寄付は、死後に相続人へと託すことになるので、ここでは、「遺言書」で寄付をする場合のやり方について、説明していきたいと思います。
まず、遺贈寄付を考える場合、どの法人や団体に寄付をしていきたいか、ということを考えます。
どの団体でも、遺贈寄付を受けてくれるわけではありません。
寄付を受け付けているから、遺贈寄付もできるだろう・・ではないのです。
例えばホームページなどでしっかりと「遺贈寄付を受け付けている」ということを表明しており、その使い道などを示している先などが安心です。
そして、できればその先へコンタクトを取り、どのような財産をどのように寄付したいと思っているか、ということを伝えた上で、「遺贈寄付を受けてくれるか」という確認をしてください。
例えば、現金を〇〇万円、などの場合は、受けてくれる先も多いのではないかと思いますが、「自分が今住んでいる自宅を寄付したい」などとなってくると、これはなかなか大変です。
「寄付だから何でも受けてもらえる」ということはないので、その不動産を不動産のまま受けてくれるのか(現物型遺贈)、もしくは、売却後に金銭に換えてから受けてくれるのか(清算型遺贈)、そこの確認も必要です。
不動産の寄付の場合、本当に売れる不動産かどうか、という確認も生前にしておくに越したことはないでしょう。
一般的に売却が難しい不動産の場合、売却ができないとなれば、清算型の遺贈寄付も難しい、現物型の遺贈寄付なら尚更、と思っておく方が良いと思います。
生前に「遺贈寄付OK」という確認が取れた場合も、税金面など確認しなければならない項目は多々あります。
それらを何も知らずに遺言書を作ってしまうと、遺贈寄付が実現できたとしても、相続人が思わぬ税金を負担しなければならない、ということも起こってきます。
そして、遺贈寄付が実現するのはご本人が亡くなったあと。
その時になってもしも「この財産は受け付けられません」と言われてしまっては、取り返しがつきません。
せっかくの遺贈寄付の意思は実現できないものとなるので、遺言書作成には入念な準備が必要といえるでしょう。
こうして読んでいただくと、「なんだか難しそうだな」と思われるかもしれません。
金銭以外の寄付となると、たしかにやるべきことは色々増えるのですが、遺贈寄付は最後の社会貢献でもあります。
相続人がいないお一人の方なら尚更、お世話になった施設などにご自身の財産を寄付をしたい、という想いをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、ご自身の財産の全部でなくて構いません。
たとえ数万円であっても、人生の最期に寄付をする、ということを考えてみてはいかがでしょうか。
別の見方をすれば、遺贈寄付を考える、ということををきっかけに、ご自身の財産について考えて頂く良い機会にもなるでしょう。
ご自身の財産のこと、亡くなった後に相続人に全てを任せてしまいますか?
それより、ご自身でその財産をどうしたいか考えて遺言書に遺しませんか?
その時に、たとえわずかでも「遺贈寄付」をしてみませんか?
弊所では、遺贈寄付の専門家と連携を取っており、不動産の遺贈寄付などにも対応しながら遺言書作成のサポートをいたします。
遺贈寄付にご興味を持っていただけた方は、ぜひご相談ください。
- suzuranjimusho
- 2024年4月30日
- 読了時間: 4分
専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。
当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。
このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。
大津市の委託事業の一つ、若年性認知症カフェ「結芽」が、毎月第二水曜日に開催されています。
場所は、京都信用金庫膳所支店様のおしゃれなロビー。
13時半~16時頃までの間、当事者の方々に限らずどなたにでも来て頂ける場となっています。
私がこのカフェに参加させていただくようになったのは、2023年の10月からです。
京都信用金庫の職員様が、私が参加している『湖城が丘サロン』に足を運んでくださった時に、このカフェのことを教えていただいたことがきっかけでした。
実は、私は父親を脳血管性の認知症で2017年に亡くしています。
私が行政書士になったのは、その後。
今の私には、この行政書士という立場から、発信できることがあるのではないかと思ったのです。
実際半年通ってみて感じることですが、このカフェの存在は地域の人々に知れ渡っている、という状況ではありません。
現状は「何かサポートをしていきたい」と考える方々が集まり、情報交換などをしている場になっています。
若年性認知症の当事者の方とその配偶者の方も定期的に参加してくださっているので、そのご夫婦にとって情報を仕入れる一つの場でもあり、別の場所へと繋がる場でもありつつ、もっと色々とできることを増やしていきたい・・と主催の方が模索してくださっている状況です。
認知症と言ってもひとくくりにはできません。
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
と4つの種類と初期症状があるようです。
私自身、まだまだ勉強不足です。
父親の症状が他の方に当てはまるわけでもないでしょうし、一つの経験として受け止めるべきだと思っています。
それでも、元気だった時は少し怖かった父が、文字が読めなくなってきて新聞を逆さまに読んでいた姿、母を探しに出かけてそのまま迷子になってしまって夜中まで見つからず探し回ったこと、胃ろうをしないと生きていけないという選択を迫られ決断したこと・・
母は寝たきりになった父を10年介護して看取り、一緒に住んでいない私達家族もみんなで頑張りました。
私にとって大きな経験であることは間違いありません。
そして今の私には生前対策を行っている行政書士として発信できることがあります。
その一つが「相続が発生したときに、相続人に認知症など判断能力がない方がいらっしゃる場合、遺産分割は困難なので、ぜひ生前に遺言を書いてください」ということです。
遺産分割協議というのは、相続発生後に亡くなった方の財産をどのように分けていくかということを、相続人全員で話し合うことを言います。
話し合いで決まった内容を遺産分割協議書というものにまとめ、署名押印をしていきます。
相続発生後にはこの遺産分割協議書の作成をしないと、不動産の名義変更などの手続きができないのですが、これは形式的なものではなく、きちんとした契約事です。
契約というのは、判断能力がある方にしか行えない行為です。
認知症が進み、判断能力がない状況の方が相続人の中にいらっしゃる場合、この遺産分割協議に参加できないということなのです。
ということは、亡くなった方の財産を動かすことができなくなる、ということです。
それでも遺産分割協議を進めたい、となれば、認知症の方に法定後見人をつけて、協議を行うことになります。
そうするとその法定後見人はその後外すことができず、一生費用が掛かり続けることになるのです。
こういった事態を避けるには、生前に遺言を書いていただくこと。
遺産分割協議が必要なくなり、遺言執行者を就けておけば更に財産の移転がスムーズに行われることになるのです。
認知症の方がご家族にいらっしゃる場合、その方を支えることに目が行きがちですが、少し視点を変えてみると、このようなことも実は大切な対策の一つなのです。
また、ご自身が認知症になる前に、将来に備えて信頼するご家族と任意後見契約を公正証書にて結ぶ、ということもお元気なうちにできる対策の一つです。
カフェ結芽の活動は、色々なことを考えさせてくれます。
当事者の方の憩いの場となるのか、発信の場となるのか、または専門家に相談できる場となるのか・・
どれか一つでなくていい、色々な形を組み合わせてお役に立てる場になっていきたい。
その一つの歯車として、私も法的な発信をしつつサポートしていける役割を担っていければ、と思っています。
結芽に一度来てみようかな、と思われたら、お気軽にどうぞ。
どなた様も大歓迎です。
認知症があってもなくても、人と人とが繋がれる場であり、助け合える場としてこの1年活動は続いていきます。
美味しい珈琲とお茶菓子でおもてなしいたします(^^♪