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更新日:2024年10月30日

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。



相続が起こった場合、亡くなった方(被相続人)の財産の中に「農地」があるケースというのは、珍しいことではありません。

被相続人が農業をしていた、という場合はもちろんですが、ご自身で農業はしていなかったけれど、代々受け継がれている農地を手放さずに所有している・・というケースなども大いにあります。

都会に住んでいる方が、生まれ育った故郷や両親の田舎に農地を所有しているが、どこにあるのか正直あまりわかっていない・・などということもあるでしょう。


まず、日本において、「農地」はどのように捉えられているでしょう?

そして、農地を相続した場合、相続の通常手続き以外にどんな手続きが必要でしょう?

今回はその辺りを中心に、お話をしてみたいと思います。



ところで「農地」というのはそもそも何を指しているのでしょうか。


日本には「農地法」という法律があり、第一条において『国内の農業生産の基盤である農地』『現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、……中略……耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。』と書かれています。

法律の第一条というのは、目的規定または趣旨規定が置かれていることが一般的で、農地法において、日本における農地の位置づけと目的が、このようにまとめられています。


「農地」は、「国内の農業生産の基盤」であり「重要な資源」として大切に扱われていることがわかりますね。


この農地法、第2条第1項に『「農地」とは、耕作の目的に供される土地』と記載されています。

具体的には、主に「田」や「畑」のことを言います。

まずは、固定資産税通知書や登記事項証明書など書類上の「地目」と、現在の土地の状況を照らし合わせて確認することから始めてみるとよいでしょう。

(もしも現状と登記が一致しない場合は、何らかの手続きが必要になると思われます。

その際は個別にご相談ください)


農地である「田」や「畑」を所有していた方が亡くなって、それを遺産分割協議によって相続した場合、遺産分割協議書を作成して、法務局で相続登記をして、「はい!終了!」とはいきません。

「宅地」の場合は、基本的に手続きはこれで完了です。

しかし、農地の場合は、この後に農地のある各市町村の農業委員会へ「届出」が必要になります。


「届出」と書きましたが、これは「許可」とは異なります。

「許可」とは必要事項を記載した書類を提出し、申請内容を役所に審査して認めてもらわないと、手続きは完了しません。

「届出」は必要事項を記載した書類を提出することで手続きが完了します。

この2つは、役所に書類を提出する、という行為は同じであっても、意味合いが全く違う、ということになります。


農地を所有している人によって、生前に売買や贈与が行われ、農地の「所有権の移転」が行われた時は、農業委員会の「許可」が必要となるのですが、これについては農地法第3条で定められています。

この「許可」は必ずしも下りるとは限りません。

権利を取得するにふさわしいかどうか、農業委員会の総会によって判断されます。


しかし、相続(遺産分割、包括遺贈を含む)などにより農地の権利を取得した場合というのは、この「許可」ではなく、「届出」の手続きとなるということが農地法第3条の3に規定されています。


この「届出」ですが、権利取得を知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。

提出先は、農地のある各市町村の農業委員会窓口です。

手続き上は添付書類を添えて届を出すだけで終了します。

決して難しいものではありませんので、忘れずに行ってください。


これらについて、普段から農業をされている方の場合は、地元の農業委員の方と接点もあり、よくご存知かもしれません。

しかし、所有をしているだけで農業はしていない、という方は、この機会に、日本における農地の役割を知っていただき、相続の場合には「届出」売買や贈与の場合は「許可」という手続きが必要、ということを知っていただけたら、と思います。


今日は、遺産分割協議により農地を相続した場合について書きましたが、もしも、遺言書で農地を誰かに遺したい、または遺言書によって農地を得た、という場合は、遺言書の書き方次第で手続き方法も「許可」が必要なのか「届出」で済むのか、変わってきます。


これらについては、またの機会にブログに書けたら・・と思います。

個別にご相談になりたい方は、弊所までお気軽にご相談ください。





専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。



私はこの仕事をする前、税理士事務所で3年間パートで働いていました。

その時に上司から任されたのが「相続税申告」の実務。

電話でのお問い合わせに答えたり、相続税申告に必要な資料の確認、評価の前処理、申告後の不動産の相続登記に備えて司法書士との連携、もちろんお客様とのやり取り・・など、税理士の監督の元、実務的な仕事をしていました。


この経験が、今の仕事のベースになっていることは間違いありません。

パート勤務であった私が経験できたのはごく一部ですが、その時の経験を活かして、現在は税理士の先生が相続税申告をする際のお手伝いをしたり、相続税がかかるお客様と税理士の間に入って資料の準備など前裁きをしたり、ということも仕事の一つとしています。


相続税を簡単に説明すると

亡くなった人(被相続人)から相続などによって得た遺産(課税価格)が、基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人が申告する必要がある」

というものです。


そこで今日は、皆様にもぜひ知っていただきたい

の3つに絞ってお話をしていきたいと思います。


⑴基礎控除額


お客様からよく聞かれるのが「相続税って亡くなったらみんな払わないといけないんですよね」という質問。

この回答は「否。そうではありません。」

先にも書いたように、「亡くなった人(被相続人)から相続などによって得た遺産(課税価格)が、基礎控除額を超える場合」に財産を得た人が申告する必要があるというものです。

その基礎控除額は

「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」というものになります。


例えば、亡くなったのが父親、相続人は母親と子2人の計3人、という場合としましょう。

この場合、

3,000万円+(600万円×3人) 

=3,000万円+1,800万円

=4,800万円


というように、父親の遺産(課税価格)が4,800万円を超えるとき、この超えた部分に対して「相続税」という税金がかかってきます。

もう少し正確に言うと「父親の遺産(課税価格)から控除できる債務と葬式費用を引いて、4,800万円を超えるとき」ということになります。


「課税価格」という言葉が何度か出ていますが、それは「財産のすべて」が対象となるわけではなく、「課税される財産」に対して相続税がかかるということだからです。

「課税される財産」とはならない「非課税の財産」というものもあります。

例えばですが、

〇墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

〇相続によって取得したとみなされる生命保険金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

などが「非課税財産」の例として分かりやすいかと思います。


単純に財産全部が含まれるわけではない、ということですが、例えば故人の財産ではないと認識してしまいがちな、いわゆる「名義預金」と言われるものも、この「課税価格」に加算されます。

これは、例えば先の例で言うと、父親が働いて得たお金を、自分の名義ではなく自分の妻の名義で定期預金をしていた・・などというのが一例です。

この他にも、課税価格に含まれる財産はあります。

その様々を一般の方が正確に判断する、というのはとても難しいと言えるでしょう。

申告が必要かどうかを正確に見極め、漏れのない申告をするには、知識と経験が豊富な税理士に相談するのが一番です。

基礎控除枠を超えるかもしれない、もしくは超えるかどうか全くわからない、という方は、まずは少しでも早く税理士に相談しましょう


⑵申告期限


なぜ「少しでも早く税理士に相談を」と言うのかというと、相続税の申告には期限があるからです。

この期限は、「相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人が亡くなった日)の翌日から、10カ月目までの日」となります。

この期限までに、税務署への申告と納税をしなければならないのです。


亡くなった方の財産がすべて把握できている状態で、資料をすべて税理士にスムーズに渡せたとしても、税理士が相続税の申告準備をするのに基本的に数か月要します。


亡くなってからすぐに税理士に相談した場合でも、集める資料は多岐に渡り、10ヶ月はあっという間です。

スタートが遅れてしまった場合は、期限までは更に慌ただしいものになります。

そのうえ、


もし財産の把握ができていなかったら?

遺産の分割がスムーズにいかなかったら?

納税資金の確保に時間を要するとしたら?


期限に間に合えばまだ良いですが、間に合わないとなると大変です。


相続人が困ることにならないように、ご自身で生前に税理士に相談していただくなどして、相続税がかかるかどうかの確認を進めていただくことを、ぜひともお薦めいたします。


⑶生命保険金の非課税枠


生前から準備をすると、生命保険金の非課税枠を使う節税対策をすることもできます。

上記⑴にもあるように、


〇相続によって取得したとみなされる生命保険金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分


が非課税となります。

先ほどの家族の例で言えば「500万円×3人=1,500万円」が基礎控除の枠とは別の「生命保険金の非課税枠」というものになるのです。

この保険金の非課税枠をうまく使うことで、課税財産を減らした上で、非課税財産を増やす事ができ、結果、相続税申告が必要なくなるというケース出てくるのです。


生前に、ご自身亡き後相続税がかかるかどうかわかれば、この他にも状況次第で節税対策をすることも可能です。

知っていると得だけれど、知らないと損。

ご自身の財産について、専門家と一緒にしっかり把握をし、そのうえでできる対策をしっかり講じていく・・これは生前だからこそできることです。


今回はこのブログで一般的なご説明をさせていただきましたが、そもそも行政書士は個別具体的な税金のご相談に乗ることはできません。

相続税については、相続税を専門とし、知識と経験豊富な税理士の先生に相談していただくのが一番です。

弊所では、このような税理士にお繋ぎさせていただき、税理士とお客様の間に入り準備や調整を行うことが可能です。


相続発生後に「もしかして相続税がかかるかも」と思う相続人の方も、「生前にしっかりと把握して対策を行っておきたい」というご本人様も。

まずは「安心の窓口」として弊所にぜひご相談ください。




更新日:2024年8月29日

専門家とお客様をつなぐ「安心の窓口」、大津市のすずらん行政書士事務所、中川由恵と申します。

当事務所では、遺言・相続・離婚のご相談をお受けしています。

このブログでは、お客様にぜひ知っていただきたい相続などの知識や私の活動記録などを発信しています。



今回は、前回に続いて「おひとりさまのサポート」の「生前のサポート部分」についてお話していきたいと思います。


前回の簡単なおさらいですが、

おひとりの方が亡くなった場合生前に作成した遺言書や死後事務委任契約をもとに、遺言執行者が遺言内容を実現し、死後事務受任者がその方の最期のお手続きやお片付け、納骨などを行っていきます。

それらを実際に行っていくためには生前からの関りが大切です、というところまでが、前回の内容でした。



さて、ここから今回のテーマとなりますが、皆様は、なぜ生前から関わることが必要だと思いますか?

一度考えてみてください。

遺言書を作成し、死後事務委任契約を交わしても、作成した後お互いが連絡を取り合わなければどうなるでしょう?

いざ亡くなった時の連絡はスムーズに取ることができるでしょうか。


そして、遺言書や死後事務委任契約は、作成してすぐに亡くなるわけではありません。

数年後、中には数十年後という場合もあるでしょう。

一度作った内容のまま、時間が経過する中で財産状況やご希望に変化があることは十分考えられます。

そんな時、しっかりとしたフォロー体制が取れていないと、過去に作ったままの、現在にそぐわない内容のままでお亡くなりになってしまう、ということになります。

折に触れて内容を確認し、状況の変化に応じて必要があれば作成し直す、ということは、とても大切なことではないでしょうか。


また、遺言執行や死後事務を専門家が行う場合、報酬が発生してきます。

その報酬の管理、というものも重要になってきます。

預り金として契約時に一定金額を渡しておく必要がある場合や、顧客の通帳の中でその資金を確保しておく場合、など受任する側の仕組みにもよりますが、話し合いで取り決めをするケースもあります。

金銭が絡んでくることですので、信頼関係がなくなればこれらを遂行していくのは難しいことです。


しかし、何より私が一番大事だと思うのは、ご自身の最期を任せる相手ですから、「この人に看取ってほしい」そして受ける側は「この人のことをしっかり看取ろう」という気持ちでお互いが向き合っていく。

そんな関係性を築くことが大事なのではないか、と考えています。



実際に、どんな形で生前からサポートし関係を築いていくか、というと

「見守り」「財産管理」「任意後見」という契約が主なものになってきます。


「見守り」とは、依頼者がお元気でご自分のことはご自分でできるけれども、いつ変化が起こるかわからない、そんな兆候を見逃さないように、そして安心してお過ごしいただけるように、普段の生活からLINEを交わしたり、電話をしたり、訪問をしたり・・どんな頻度でどんなサポートを望まれるか、を相談して取り決めを交わします。

おひとりの方の場合、誰かと常に繋がっている、というのは、とても大きな安心になるのではないでしょうか。


「財産管理委任契約」は、ご自身で通帳や金銭などの管理をするのがしんどくなってきた時に、受任者が、その方の財産を、その方の代わりに管理していく、という委任を受けるものです。

ただ、主導権はあくまでご本人。ご本人の指示のもとにサポートを行っていく、というイメージです。


そして「任意後見契約」

これは、ご自身が判断能力があるお元気なうちに「もしも認知症などで判断力がなくなった場合に、財産の管理や、契約事などを、ご自身に代わって意思決定し管理していってもらう」という契約を、ご自身が決めた相手と交わしておくのです。

任意後見契約を事前に準備していない方が認知症になった場合、通帳からお金をおろしたり財産を動かしたりするには、正式には「法定後見」というものが必要になり、家庭裁判所への申立てにより誰を後見人とするかを家裁が決定し、その後見人により後見が行われます。

任意後見契約であれば、ご自身が信頼できる人を先に選んでおくことができる、という大きな違いがあります。


主にこの3つの契約を交わしておくことで、おひとりの方へのサポート体制を整えていきます。

しかし、人が生活をしていくうえで、これらのサポートだけですべてが賄えるわけではありません。他にも考えていかなければいけない部分は多々ありますが、少なくともこれらをしっかり整えたうえでないと、遺言書の実現や死後事務の円滑な手続きは難しいと考えます。


ただ、これらの契約は、遺言執行者や死後事務受任者が必ずしも結ばなくてもかまいません。どなたか代わりにお願いできる方、例えば福祉事務所の方などが生前はしっかりサポートするような形を整え、その方々とも連携して関りをもち信頼関係を築いていく、という形も十分に考えられます。


人が生きていくうえでは、一つの契約をしたからそれで大丈夫!とはなかなかいきません。

様々な状況に対応しよう、と思うと、あれもこれも‥となってしまいがちですが、本当にないと困るのは何かをしっかりと考えて、必要な契約をしていくことが大切でしょう。

その中で、これら3つは、お亡くなり後にも繋がる大事なサポートであり、信頼関係を更に築いていくうえでも欠かせない契約なのではないかと考えています。


その人にとって、これからの人生にどんなお手伝いが必要か。

どのようなサポートをしていければ、幸せに暮らしていただけるか。


私もまだまだ勉強中です。

しかし少しでもその方に寄り添ったサポートをしつつ、安心して暮らしていただけるよう、お手伝いをしていきたいと思います。


おひとりの方のサポートは、生前から始まり、お亡くなり後まで続きます。

当事務所では、このようなサポートも行っておりますので、詳しいことをお聞きになりたい方はぜひお気軽にお問合せください。


 
 
 
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